大山鳴動して柿谷曜一朗ひとり。変われなかったザックジャパン (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 梁川剛●写真 photo by Yanagawa Go

 そのためにはフィールドプレイヤー20人全員が、戦力にならなければならない。人材発掘はそのためにも必要不可欠なテーマだった。

 普段スタメンを飾ることがない代表2軍メンバーを中心に臨むことになった東アジア選手権(7月・韓国)は、その意味でも注目すべき大会だった。こちらも期待を膨らませながら韓国まで取材に出かけていったものだ。

 それが今、とても無駄足だったように感じられる。非生産的行為とはこのことだ。柿谷一人の変更に終わったガーナ戦のスタメンを眺めると、この夏の疲れがどっと湧いてくるのだった。

 ガーナ戦、交代で山口螢が出場したのは後半も押し詰まった82分。彼の出場はわずか8分に終わった。前戦のグアテマラ戦で交代出場した青山敏弘もわずか11分。3人目としてスタメンを飾るメドは全く立っていない。ザッケローニは夏休みの宿題に手がつけられなかったことになる。

 最終ラインでは、森重真人がスタメンに近い3人目の選手になりつつあるが、こちらの場合は、文字通り3人目になる危険(?)がある。すなわち3バック(事実上の5バック)要員だ。

 ザッケローニは守備の不安を、人数を増やすことで(サッカーを守備的にすることで)解決しようとしている。その3-4-3はもはや単なる5バックだ。攻撃的では全くない。コンフェデ杯、そして仙台でウルグアイに大敗すると、サッカーのコンセプトをこっそりと、しかし大きく変えた。新戦力を発掘する前に守備的にした。自らの立場を守る作戦に出た。

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