大山鳴動して柿谷曜一朗ひとり。変われなかったザックジャパン (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 梁川剛●写真 photo by Yanagawa Go

 今年6月、ブラジルで開催されたコンフェデレーションズ杯に出場したザックジャパンは、ブラジル、イタリア、メキシコ相手に3連敗を喫した。アジア予選を楽々通過。世界で最も早くW杯本大会出場を決めたことで、日本のファンは鼻をすこしばかり高くしていた。コンフェデ杯を前に楽観ムードを漂わせていた。 それだけに3連敗はショックだった。鼻を見事にへし折られた格好だった。このままではまずい。世界の強豪には太刀打ちできない。W杯本大会での好成績は望めない。日本はそこで大いに反省したはずだった。

 メンバー固定化の弊害も実感したはずだった。新戦力の登場なしに、右肩上がりは期待できないと、多くの人が思ったはずだった。

 コンフェデ杯第2戦、対イタリア戦において長谷部誠は、2枚目のイエローカードを受け、続くメキシコ戦には出場できなくなった。長谷部は守備的MFとして、遠藤保仁とともに岡田ジャパン時代からスタメンを張り続けてきた選手。固定化を象徴する選手だった。

 交代で先発した細貝萌は、しかし力不足を露呈した。固定化の弊害で「3人目」の選手が育っていないことが、白日の下に晒されることになった。

 イタリア戦で、杜撰(ずさん)なプレイを見せた吉田麻也にも疑問の目が向けられた。彼は、アジア予選のヨルダン戦(アウェー)でも、致命的なミスを犯していたので、守備的MF同様、センターバックも「3人目」の選手の発掘が求められていた。

 W杯本大会に出場するだけの時代なら、3人目の人材を望む欲は湧いてこなかったろう。3試合で打ち止めが分かっていれば不必要な願望かもしれない。だが日本には前回4試合戦った実績がある。できれば今度は5試合戦いたいと考えるのが一般的なファン心理だ。抽選のくじ運にもよるが、実際問題として日本がマックス値を発揮できれば、それは絶望的な話ではない。少なくともそうした希望を抱いていたいのだ。

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