ザックが2戦連続で3-4-3を使った「隠された意図」

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

「(4-2-3-1と3-4-3では)スタート位置が違うだけで、動き自体はそんなに変わらない。(3-4-3が)体にしみついてくれば、動きもスムーズになる」

「3-4-3」の場合、「4-2-3-1」と比べると中盤から前の枚数が増える分、高い位置からボールを奪いにいく意識はより強く求められる。だが、その一方で最終ラインが1枚少なくなる分、ひとりあたりがカバーする横幅は広くなり、速いスライドが求められる。
 
 つまり、日本代表に失われていた守備の意識、すなわち高い位置から強くボールを奪いに行き、奪い切れずにサイドチェンジされたとしても左右のスライドを速くすることですばやく対応する。そうしたことをあらためて思い出させ、徹底させるためには、「3-4-3」のトレーニングがより効果的だったと考えられる。

 実際、グアテマラ戦とガーナ戦で見られた守備面の改善具合を考えれば、その効果はてきめんだった。長谷部は言う。

「大事なのは継続。この2試合でできたことを(10月のヨーロッパ遠征の)アウェーの地でも出せるようにしたい」

 今回の9日間に及ぶ合宿で、ザッケローニ監督が「3-4-3」にこだわった理由。それはシステムうんぬんの話ではなく、自らが目指すサッカーの大原則を、自信を失いかけている選手たちにあらためて思い出させることにあったのだと思う。

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