敗因は吉田麻也ではない。日本の「要請」を果たせないザッケローニ (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 ザッケローニは「要請」を果たせずにいる。

■出場選手採点(採点は10点満点、平均は5.5)

GK 川島永嗣 7 
  4点を食らったが、それと同じぐらい決定的なシュートを防いだ。中でもフォルランのシュートを防いだ後半ロスタイムのセーブは見事。
DF 内田篤人 5 
  終始、専守防衛状態で、存在感はいつになく薄かった。
  (駒野友一 5)
  交代で出てきたのに専守防衛。
   吉田麻也 4.5 
  後半7分。小さくなったクリアを拾われスアレスに3点目を許すと、ザッケローニは吉田を早々にベンチに下げた。「失点の責任はオマエのミスのせいだ」と言わんばかりに。しかし、検証すべきはそのセンタリングを送球した相手の右サイドバック、ペレイラがどれほどフリーの状態だったか、だ。なぜそうなってしまったのか。
   (伊野波雅彦 5) 
  「伊野波が見たかったから」とはザッケローニの弁だが、交代で試すべきは、力のほどが分かっている伊野波ではなく、森重ではないのか。
   今野泰幸 5.5 
  相手のフォワードに翻弄されたが、特に悪い印象はなし。少なくとも大敗の責任は彼にはない。
   酒井高徳 5.5 
  大きなミスを犯したが、貢献もした。日本の左サイドバックは、本来その前にいるはずの香川がいないため、相手ボールになると苦しい立場に追い込まれるという構造的な問題を抱えている。
MF 長谷部誠 5.5 
  後半30分、山口と交代させられたが、その山口よりずいぶんよかった。
  (山口螢 5)
  決定的なミスパスを1本犯す。存在が小さく、そして頼りなく感じた。
   遠藤保仁 5 
  チームをコントロールできていない。日本のパスサッカーの中心人物に他ならないが、「人」を意識したパスばかりが目立ち、スペースとの関係がとても悪かった。展開力の低い、強引で美的センスに欠けるパスワークを演出してしまった。
   本田圭佑 6.5
  相変わらず「本田ジャパン」と言いたくなる存在感を示した。FKも鮮やかだった。しかし、スケールは一回り小さくなった感じ。選手が中央に固まる悪い流れに埋没する時間も多かった。
FW 岡崎慎司 6 
  後半2分、相手GKとの1対1を外すも、相手監督タバレス氏から試合後の会見で、よかった選手と評された。実際、キレのよいドリブルを2度ほど披露。少しずつではあるが右肩上がりの成長を続けている。
   柿谷曜一朗 4.5 
  香川、本田と短い距離感で濃い関係を強いられた。「香川が中に入ったら、外に開け」は、無理な注文か。
  (豊田陽平 5.5)  
  少なくともハーフナーよりチームにフィットしていた。
   香川真司 4 
  好き勝手に動き回ってしまう癖は相変わらず。地味で控えめな顔つきだが、サッカーは本田以上に「オレオレ」系。いつでもボールを欲しがろうとする。 ボールのある場所とは逆のサイドにいることができない。4-2-3-1の3の左なのに、右サイドにボールがあると、そこにいられない。真ん中に入り込もうとする。よって相手ボールに転じると、日本の左サイドのスペースはガラガラ。狙われやすくなる。

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