東アジア杯で韓国に大苦戦した理由を誰も追及しないのはなぜか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Fujita Masato

 この試合のテレビの実況と解説は、韓国のサッカーを「サイドからすぐに中央に入れてきます」と、何度となく解説していた。そこからイメージするのは「放り込み」であり「カウンター」だ。ラフな攻撃である。ボール支配率の高そうなサッカーではない。

 にもかかわらず、韓国は日本に対して大きく支配率で勝った。

 なぜか。彼らの攻撃はサイドを有効に使っていた。プレッシャーを片側のみしか浴びることがないというタッチライン際の特徴を活かしながら、ボールを前へと運んでいった。そして「陣」を着々と獲得していった。進むルートはまず外ありき。外を有効に使いながら、真ん中の道を探っていた。

 対する日本は、最初から真ん中を歩もうとした。水泳のコースでいえば、1コースと8コースを有効に使いながら前進する韓国に対し、日本は強引に3,4、5、6コースを歩もうとした。

 4-2-3-1の3の両サイドを務める選手のポジションがなにより違っていた。韓国の3の両サイドは1コースと8コースにいた。対する日本の工藤と原口は、3コースや6コースにいる。この差が、そのままパスの難易度に繋がっていく。外への膨らみがあった韓国のパスワークに対し、日本のパスワークは、真ん中からせり出すように進んだ。逆Tの字を描くように。その結果、当然のように途中でカットされた。その先に道はありませんと、ピッチ上にハッキリ描かれているにもかかわらず。

 日本サッカーの欠点は、ズバリ、ボールの運び方が悪いことだ。安全ではない道を平気で辿ろうとする。その結果、思いのほか簡単に奪われてしまう。だが、ボールを失うことに罪悪感を抱く人が少ない。あまり恐怖心を抱こうとしない。その一方で、難易度の高いパスが決まった瞬間を喜ぼうとする。それこそが日本のサッカーだと自画自賛する。

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