東アジア3連覇を逃したなでしこが、今、戻るべき原点 (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 なでしこたちは追われる立場に、今もなお慣れていない。チャレンジャーにもなり切れず、女王としてのメンタリティも未熟。すべてが中途半端なまま、「こんなところで負けるわけにはいかない」というプライドがカラ回りしているようにしか映らなかった。今一度、原点に立ち返るべきだ。蹴る、止める、見る、考える――土台がしっかりしていなければその上にいくら高度な戦術を積み重ねても、わずかな衝撃で崩れてしまう。精度が問われたのなら、シュート練習、長短のパス練習を繰り返せばいい。"初心忘るべからず"だ。

 そして、目標を達成するために必要なことは何なのか、自分たちが新しく目指すサッカーとはどういったものなのか、衝突を恐れずに互いにコミュニケーションを取らなれば、せっかくの努力も水の泡だ。

「油断がなかったとは言い切れない」(宮間)、「自分たちの対応ミス」(岩清水)と自らを戒める言葉とともに、試合後に涙を浮かべた選手たち。誤解を恐れず言うならば、これが"悔し涙"であってはならない。悔し涙は死力を尽くしたものにだけ許される。ロンドンオリンピックの銀メダルの時のように。今回の敗戦は比べようもない。中途半端なチームに3連覇を許すほどアジアは甘くない。それでも、これほどまでに課題が出たということは、まだまだ成長できる証でもある。以前と同じことをしていては通じないことは身にしみて理解している選手たち。この"ふがいない涙"の味を心に刻んで、次のステップに向かっていって欲しい。

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