豪州戦で守備陣にも手応え。ふたりのCBが示したザックジャパン最大の特徴 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

  第2戦に先発したメンバー、すなわち初戦で先発できなかった選手たちにしてみれば、中国戦をベンチから見ていて「次は自分たちが」の思いが強かったのだろう。選手たちはチームのコンセプトに沿いながらプレイしつつも、自分の特徴をしっかりと発揮していた。その結果が3-2の勝利である。

 試合を見ていて、サイドで数的優位を作り出すビルドアップのやり方など、トレーニングで叩き込まれたことを忠実にこなそうとする姿勢は選手から伝わってきた。しかし、だからと言って、言われたことに縛られてプレイが小さくなる様子は見られない。しかも、今度は初戦で逃した勝利をも手に入れることができた。

 今大会の目的は「23人の選手を見極め、代表候補の選手を増やすこと」だと話すザッケローニ監督にとって、喜ばしい状況であるに違いない。

 注目は当然、2ゴールの大迫勇也、先制点を決めた齋藤学ら、攻撃陣に集まる。ノーゴールに終わった豊田陽平にしても、「前線でのボールキープ、ポストプレイ、ヘディングでの落としなど、よくチームに貢献してくれた」とザッケローニ監督が語ったように、A代表デビュー戦としては及第点の出来だった。

 しかしこの試合に関して言えば、前線の選手以上に目を引いたのは、ふたりのセンターバックの存在である。

A代表デビュー戦で攻撃の起点となる縦パスを供給した鈴木大輔A代表デビュー戦で攻撃の起点となる縦パスを供給した鈴木大輔「オーストラリアのフィジカルとパワーに対し、我々は(自分たちの特徴である)広いスペースでよりボールを走らすことに集中した」と振り返るザッケローニ監督は、「DFラインからのビルドアップがよくできた」とも話していたが、その重要な役割を担っていたのが、千葉和彦と鈴木大輔のふたりだった。

 コンフェデレーションズカップを見ても分かるように、世界レベルの強豪国を相手に日本が対等に渡り合おうと思えば、徹底的にパスをつなぎ、主導権を握り続けることが重要。苦しいからと言って、DFが簡単にロングボールで逃げてしまっては自分の首を絞めるだけだ。

 その点に関しては、千葉も鈴木もオーストラリアが高い位置からプレスをかけてきても、徹底してパスをつないでプレスをかいくぐろうとする姿勢を見せていた。危ういプレイもなかったわけではないが、日本が自分たちのスタイルを貫くためには、これくらいの覚悟があっていいはずだ。

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