工藤壮人は岡崎を超えるか、高萩洋次郎はポスト本田になれるか? (3ページ目)

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO

「最初はシンプルにワンタッチでプレイすることが多かったですけど、ワンタッチだといつもやっているメンバーなら息が合っても、そうじゃないとズレることもある。それで試合中、『どうしてほしい?』と話をしながらプレイして、時間が経つにつれて互いのやりたいことが理解できるようになりました。その結果、ワンテンポ遅らせたり、キープしたりしてタメを作れるようになって、みんなも動き出せたんじゃないかと思います」

 チームの3点目、工藤のゴールにつながる柿谷曜一朗へのフィードを出したのも、高萩だった。

「前半の途中くらいから、『ボールを受けて、前を向いて』という形が何回も出せるようになってきて、後半、(柿谷)曜一朗が抜け出したようなボールも出せた。カウンターからゴールを奪えるのは強みになると思うので、こういう形はもっと出していきたいですね」

 高萩とのコンビネーションについては柿谷も、「1試合やっただけだけど、すごくやりやすい選手。普通にうまいなって思った」と賛辞を送る。

 中国戦を見ていて思い出したのは、ザックジャパンの初陣となったアルゼンチン戦だ。1-0で勝利したこの試合も準備期間は4日しかなかったが、サイドに追い込むプレッシングなど最低限の戦術が植えつけられた上で、攻撃陣の持ち味は発揮されていた。

 そのアルゼンチン戦に招集され、今回の中国戦では左サイドバックとして後方から攻撃陣をサポートした槙野智章は、試合中に修正していった攻撃陣に驚きを隠さない。

「最初はちょっと型にはまっていましたけど、時間が経つにつれて、チーム戦術の中でそれぞれの良さを発揮できるようになっていきましたね。ポジティブな面がすごく多かったと思います」

 結果は3-3の引き分けに終わったものの、チーム戦術を体現したうえで、個の能力も証明した中国戦。若き攻撃陣にとって、東アジアカップの初戦はザッケローニ監督への良いアピールになったのではないだろうか。


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