日本代表初招集、豊田陽平の覚悟。「ここで選ばれなかったら...」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

「ただ、(北京五輪に続いて)もう一回、日の丸をつけたいなら、もっと貪欲にならないととは思っていますよ。決して足を止めることなく、進み続けたい。これでいい、と少しでも思ったら、自分は終わりだと思っているから」

 切迫したその闘争心で彼は自らの道を切り開いてきた。

 かつての彼は今以上に荒々しかった。鳥栖の関係者が「(2010年シーズン)入団当初、豊田選手は他の選手を寄せ付けない空気を持っていました。ランニングも一人で黙々とするようなところがあって」と明かしていたほどだ。それが得点を量産するようになって、ある種の余裕が出た。強い覇気は変わらないが、生来の茶目っ気が出るようになった。結果が自信を与えたのだ。

「分かりやすい結果を出せば、誰の胸にも響くはず」

 豊田は一途にそう信じ、ゴールの山を築いてきた。現在の活躍は、代表に選ばれるのにふさわしい。

 そして来るべき東アジア杯、戦場は韓国だ。日本が苦戦を強いられることの多い韓国戦は、苛烈な激突になるだろう。そこでゴールの咆吼をあげたとき、豊田の進撃はもう誰にも止められない。

※東アジア杯日程
7月21日 日本×中国
7月25日 日本×オーストラリア
7月28日 韓国×日本

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