チーム力を上げるために、今こそ中村俊輔や闘莉王を招集すべき (3ページ目)

  • スポルティーバ●構成 text by Sportiva
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 何はともあれ、日本が身につけること、突き詰めなければいけないことは、選手個々の日頃の意識改革による部分が大きい。だからこそ、今後必要になるのは、激しいチーム内競争だ。攻撃だけでなく、守備においても、多くの選手がしのぎを削って、ポジション争いをすることで、個々の意識が高まるからだ。そしてそれが、チームのレベルアップにつながっていく。

 その点に関しては、すべてザッケローニ監督の手腕にかかっている。これまでは、ある程度メンバーを固定してきたが、これからは新たな選手を積極的に起用していってほしい。Jリーグで結果を出している選手はすぐに招集して、チャンスを与えるべきだろう。

 そういう意味では、今度の東アジアカップ(7月20日~28日/韓国)に向けて、多くの新メンバーを招集したことはいい傾向だが、それが今回だけで終わってはいけない。欧州組も招集される、8月、9月、そして10月の試合でも、同様に新戦力を招集し、なおかつ試合でもどんどん使っていくべき。レギュラー争いを激化させ、既存のメンバーの危機感をあおることで、チームに大きなエネルギーが生まれるからだ。

 そのエネルギーをより膨らませるには、若手の新戦力だけでなく、ベテランも呼んだほうがいい。横浜F・マリノスのMF中村俊輔やDF中澤佑二をはじめ、名古屋グランパスのDF闘莉王やサンフレッチェ広島のFW佐藤寿人、そして川崎フロンターレのFW大久保嘉人に、浦和レッズのMF阿部勇樹など、今季も結果を残していて、力のある選手はいっぱいいる。

 とりわけ、俊輔と闘莉王は、過去の経験や実績では既存のメンバーより上。ともに得点力があり、今季のパフォーマンスも際立っている。1年後の大会までなら十分に力を発揮できるだろうから、彼らをメンバーに加えない手はない。

 彼らが代表入りするとなれば、間違いなく既存のメンバーの尻に火がつく。物怖じすることなく、レギュラー陣にも遠慮なく意見し、注文をつけて、若手の新戦力による突き上げとは比べ物にならないほどの危機感をすべてのメンバーにもたらすだろう。まさにチーム内を活性化させ、その効果は計り知れないと思う。

 そんな真のチーム内競争があってこそ、日本代表は強くなる。にもかかわらず、「彼らの力はわかっている」とか「最終的には選考する可能性が低いから、招集するのは心苦しい」などといった理由で彼らを招集しないのなら、ザッケローニ監督には早々に代表監督の座から退いてもらったほうがいい。限られた時間の中で、最大限のチーム強化を実行できない指揮官はいらない。コンフェデの結果を考えれば、もはや悠長なことを言っていられる状況ではないのだから。

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