世界と戦えるサッカーを実践するためには、本田圭佑はいらない

  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 翻(ひるがえ)って、世界のボランチは違う。ブラジルのボランチ、ルイス・グスタボとパウリーニョがいい例だ。彼らは、地味ながら攻守に渡ってハードワークして、最終ラインの前でしっかりと相手の攻撃の芽を潰している。しかも、点を取ることもできる。日本も、できるだけ最終ラインで苦しい状況に作らないためにも、彼らと同じような仕事ができるボランチが求められる。

 ドイツでプレイしている細貝萌などは、その候補のひとり。彼はドイツで、プレッシングサッカーにおけるボランチの役割をしっかり勉強している。もっと出場機会を増やしてあげれば、代表でも十分に力を発揮できるのではないだろうか。

 その点は、ザッケローニ監督の課題でもある。センターバックを含めて、今後はいろいろな選手を試していくべきだろう。

 最後に、前線からのプレッシングサッカーを実践するには、英断しなければいけないことがある。本田圭佑を外すことだ。

 確かに、本田はボールをキープして取られない力がある。しかし、早い流れを生み出せる選手ではないし、早いパス回しができるわけでもない。それに、最後のところで得点に絡みたいという意識が強いためか、積極的にディフェンスをしようとはしない。

 そういう選手が前線からのハイプレスをこなせるはずはなく、本田は日本が目指すべきプレッシングサッカーに向いていない。にもかかわらず、日本は彼を中心にしてこれまでチームを作ってきてしまったばかりに、世界から後れを取ってしまった。当初面白かったザッケローニ監督のサッカーがつまらなくなったのも、それが原因だろう。

 本田の代わりは、香川真司がいる。ボールの速い流れを構築し、最先端のプレッシングサッカーを実現するためにも、トップ下のポジションは香川が務めるべきだ。香川は、ドルトムントでも、マンチェスター・ユナイテッドでも、そのスタイルのサッカーを経験している。特にドルトムント時代は、クロップ監督が香川をトップ下に固定して大成功を収めた。

 ザッケローニ監督がどういう考えで本田中心のチームを作ってきたのかはわからないが、コンフェデでそれが通用しないことは明らかになった。世界を相手にして、W杯でベスト16以上を本気で目指すなら、本田依存から脱却し、世界指針のサッカーを実践するべきだろう。ザッケローニ監督はもちろん、真面目でひたむきな日本の選手なら、それが実現できるはずだ。

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