【なでしこ】欧州王者ドイツを相手につかんだ「成長のカギ」 (3ページ目)

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 さらにこの遠征では新たな攻撃の試みとして、タテパスから裏へのショートカウンターがあった。これまで佐々木監督はこのタテのスタイルをあえて避けていた。封印していたと見ることもできる。「世界はスピードアップしている。効果的にタテの攻撃を仕掛けるのは必要なこと」と、今回の合宿から新たな攻撃スタイルのひとつとして取り入れたのだ。イングランド戦でもその試みは幾度もみせた。常に裏を意識しながら攻撃を組み立てる、テンポアップした攻撃スタイルが印象的だった。日本のカウンターの特長はDF裏へのロング一本に頼るのではなく、コンビネーションが絡んでいるシュートカウンターであること。ここに彼女たちのこだわりを見た気がした。

 しかし一転、ドイツが相手となると仕掛けたDF裏へのショートカウンターは、その芽を摘み取られ、一気にピンチを招くシーンがあった。カウンター一辺倒では必ず見切られる。今後は、ロンドンオリンピックまで身上としていたポゼッションサッカーに、タテの攻撃をどう効果的に取り込んでいくかが重要になってくる。このスイッチが完璧になれば、どんなに日本を研究し尽くした相手であっても、イニシアティブを取ることは十分に可能だ。

「(2-4いう結果は)我々の技術、コンディション、フィジカルにおいてドイツに勝っていなかったということ」とした佐々木監督。大きな敵を前にして初めて己を知ることもある。誰に何を問われるより、ピッチ上でドイツ選手から得た感覚がすべて。これをどう生かすのか、次のなでしこジャパンの戦いに注目したい。
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