【なでしこ】欧州王者ドイツを相手につかんだ「成長のカギ」 (2ページ目)

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 そして不可欠なのが大儀見の存在だ。チーム構成とゲームの流れによって、ゴールハンター、ポストプレイ、くさび役と、実に多くの役割をこなす。それらを自ら選択できるのが今の大儀見だ。チーム戦術の狭間で苦しみながらFWとして自分のプレイを貫き、スタメン落ちまで経験した2011年ドイツワールドカップから大きく成長した部分がそこにある。"すべてはゴールのため"だ。

 相手がニュージーランドでも、イングランドでも、ドイツでもそのスタンスがブレることはなかった。「粘り強いゲームが出来て、相手が嫌がっているのを感じながらやれた」と2-2のスコアになるまでを振り返った大儀見。しかし、その後押し込まれて失点を重ねたことについては「プレッシャーがきつくなった相手に対しても、自分たちが描いているイメージの精度をしっかり上げて、それを出せないと意味がない」と厳しい表情を見せた。

 守備の面でも課題を残した。「なんとしても前半はゼロに抑えたい」と話していた岩清水梓だが、先制点を許したのは前半17分。なんとか同点に追いついて折り返したものの、勝ち越し点を奪われたのは後半開始早々。一番危険な時間帯だった。さらに4失点中2点がPK。この結果は穏やかなものではない。「想定内の押され方だった。なのにペナルティエリア内でバタついてしまった。シュートを打たれてもコースを切れば怖くないはずなのに」(岩清水)。ぶっちぎられた訳でもなく、人数が足りていながらの失点シーンには悔いが残る。

 そして攻守において、今後避けては通れないのが、サブメンバーの底上げだ。ピッチ感覚を掴むことは簡単ではないが、選手交代で流れがマイナスになってしまっては本末転倒。技術的なことよりもイメージの共有がなされていないことが、敗戦につながってしまう。引き上げる努力と、のし上がる気力が不可欠だ。

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