【なでしこ】欧州王者ドイツを相手につかんだ「成長のカギ」

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

2得点に絡み、活躍した宮間あや(左)と大儀見優季(右)2得点に絡み、活躍した宮間あや(左)と大儀見優季(右)「チーム力の差が出た」(大儀見優季)――。しかし、何もできなかった訳ではなかった。
なでしこジャパンのヨーロッパ遠征の最後を締めくくるドイツ戦は、4万6千人を超える大観衆。なでしこにとっては攻守において、乗り越えるべき課題が出た貴重な試合となった。

 先制点を奪ったのはドイツ。前半17分、右サイドをえぐられ、マイヤーに鮮やかなミドルシュートを決められた。思うようにプレスがかからない。ドイツは素早い攻守の切り替えから、効果的なショートカウンターを繰り出し、それをしっかりつないで、最後のところでは1対1でDFを外しにかかった。まさに多彩。それでも日本は2度リードを許しながら、2度追いついた。後半15分まで互角の戦いは、2011年のワールドカップ準々決勝の対戦から日本が大きく成長したところだ。

 得点源、そして攻撃の起点になっているのが、ボランチに入った宮間あやとFWの大儀見優季の2人。宮間に関しては、体格差のあるドイツに対してど真ん中を張るだけに、いつものように自由にプレイすることは叶わなかった。それを覚悟の上で臨んだこの試合。パスにこだわりを持つ宮間だったが、想像以上に動きを制限された。

 その中で生まれた日本の1点目。前半39分、宮間がボールを持った瞬間、DF裏へとスタートを切る大儀見としっかりとアイコンタクトを取る。繰り出されたボールを大儀見が胸トラップでコントロールすると、その動きを見越して走り込んできた大野忍へラストパス。大野のシュートは相手GKの手を弾いてゴールネットに突き刺さった。長く共にプレイしてきたこの3人には、阿吽(あうん)の呼吸がある。イメージを共有し尽くしたこの3人だからこその連携で生まれたゴールだった。世界ランク2位のドイツ相手にこのコンビネーションが通用したことは今後、なでしこにとって明るい材料になるはずだ。

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