藤田俊哉×名波浩
「選手か、監督か。日本代表は何かをガラッと変えるべき」

  • 小室 功●構成 text by Komuro Isao

――先ほど、名波さんから「監督が今後の方向性を示さなければいけない」というご指摘がありました。W杯本大会で結果を残すためには、どのような戦い方を選択すべきでしょうか? あくまでも自分たちのスタイルを追求するのか、現実的な戦い方にするのか?

名波 前回の南アフリカW杯のような戦い方に戻るのは正直、反対かな。

藤田 中盤にアンカーをひとり置いて、守備のブロックを全体的に下げた形の戦いね。

名波 それは、選手たちも本望ではないと思う。確かに南アフリカ大会では現実的な戦い方をして、グループリーグを突破してベスト16までいった。それはそれで素晴らしいけれども、前回大会と同じような戦い方だったら、日本サッカーにとって、何の上積みもないでしょ?

藤田 そうだよね、上積みして、今のチームがあるわけだし。

名波 選手たちが海外のクラブに行ったり、それこそビッグクラブに移籍したりしたのも、少しでも成長したいという思いがあったからでしょ。とすれば、自分たちのスタイルを突き詰めてほしいし、そのほうがたとえグループリーグで負けたとしても、日本のサッカーのためになると思うよ。

藤田 現実的な戦い方を選択するのか、真っ向勝負を挑むのか。どっちにしても、ザッケローニ監督と選手たちがしっかりとすり合わせをして戦わないと。そこは、ブレないほうがいい。

――選手たちは「W杯で優勝する」と語っています。

藤田 コンフェデの結果を見せられたあとだと、ハッタリにしか聞こえないけど、個人的には言い続けてほしい。どうせやるなら、優勝を目指して戦う。そのくらいのほうがね、自分は好き。変に弱気になってしまうのはよくないから。

名波 コンフェデの3戦全敗は、日本にとって収穫と言ってもいいかもしれない。これまで、現実から逃避するような報道や見方が多かったけど、現実を知ることができたわけだからね。それは大きいと思う。自分たちはまだまだ成長しなければいけない、ということもわかったしね。

――貴重なご意見ありがとうございました。これからの1年、日本代表がどう変わっていくのか、我々もしっかりと見守っていきたいと思います。

photo by Masuda Yuichiphoto by Masuda Yuichi写真右◆藤田俊哉(ふじた・としや)
1971年10月4日生まれ。静岡県出身。卓越した技術と高い得点力でジュビロ磐田の黄金期を築いた「天才MF」。日本プロサッカー選手会の会長としても奮闘した。2012年、現役を引退。現在は、指導者ライセンスの取得に励みながら、解説者としても活躍している。

写真左◆名波 浩(ななみ・ひろし)
1972年11月28日生まれ。静岡県出身。ジュビロ磐田の司令塔として活躍し、日本代表では「10番」を背負って初のW杯出場に貢献した。引退後はジュビロのアドバイザーを務めるとともに、テレビ朝日『やべっちF.C.』などサッカー解説者として奔走している。

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