中村憲剛が語るvsメキシコ「前回のW杯1年前とは明らかに違う経験値」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●構成 text by Sato Shun
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 過去2試合で失点している、後半の入り方はすごく大事だった。ハーフタイムでは「集中していこう」という話をしていたし、誰もが相当気を引き締めて、ピッチに戻っていったと思う。でも、後半9分、(メキシコに)ゴールを決められてしまった。

(右サイドバックの酒井)宏樹は、クロスを上げたグアルダドの前に立っていたけど、(対応するポジションが)半歩ズレていただけで、素晴らしいボールを上げられてしまった。ゴールを決めたエルナンデスも、それまではニアで勝負していたのが、そのときは(栗原)勇蔵の背後に回って、ドンピシャで合わせて決めた。グアルダドのクロスの質といい、エルナンデスのゴール前への入り方といい、まさにワールドクラスのゴールだった。

 自分は後半32分、0-2という状況でピッチに入った。最初は、3-4-3の前線の2シャドーの位置に入ると思っていた。でも、交代の準備をしている最中、(長友)佑都が負傷した。それで、(酒井)高徳が代わって入るのかなって思ったけど、結局、4-2-3-1に戻し、センターバックのコンちゃん(今野泰幸)を左サイドバックにズラして、自分はトップ下に入った。

 フレッシュな状態でピッチに入る自分がやらなければいけないことは、がんばって走ること。相手がボールを下げてもしつこく追う、マイボールの際はミスをしないようにしてパスを出したら走る、を繰り返す。ピッチにいた選手はみんな疲れていたので、自分がみんなの足にならないといけないと思っていた。あとは、負けているわけだから、ゴールに絡むプレイを意識した。

 少し流れを取り戻すことができて、後半41分に1点取り返すことができた。でも、「さぁ、これから」というときに、メキシコに試合巧者ぶりを発揮された。ロングボールではあまり競らないで日本のファールを誘うなど、細かい時間の止め方、使い方がすごくうまかったし、やり慣れていた。

 メキシコはPKのチャンスを外してから、そうした時間を使うプレイをより顕著に実践した。選手交代も駆使して、このまま試合を終わらせようとしていた。日本は、そのメキシコのやり方に付き合っているつもりはなかったけれども、結果的にそうなっていた。自分たちは、まだまだ国際経験が足りないな、と思った。

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