コンフェデ3連敗を総括。日本の問題は華麗なパスワークにこそある (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • スエイシナオヨシ●写真 photo by Sueishi Naoyoshi

 この3連敗をどう楽しむか。ワイワイガヤガヤするか。それこそが今、日本に問われている点だ。

 では実際に、ザックジャパンはどこがダメだったのか。

 イタリア戦、メキシコ戦は、敗れたとはいえ競った試合だった。特にメキシコ戦は「タラレバ」を言いたくなる惜しい試合だった。しかしそれでも、メキシコと日本の間には明らかに差があった。

 ともにパスワークを自慢にする国である。メキシコは日本がお手本にすべき国。少し前まで、よくそう言われたものだ。しかし最近、あまりそう言う声は聞かれない。パスワークに関しては、日本の方が上とのプライドが芽生えてきたからに他ならない。

 メキシコ戦。実際、小洒落たパスを披露したのは日本だった。ベロオリゾンチの観衆も、そんな日本に好感を示していた。だが、ペースは次第にメキシコサイドに移っていく。

 メキシコのパス回しは決して華麗ではない。いわば定石通り。ともすると意外性に欠けるが、その分だけ確実。安定性に富んでいる。そしてその分だけボール支配率は上がる。サッカーは安定する。ペースを自分のものにすることができる。流れを呼び戻すことができるのだ。

 日本のパスワークはその逆だ。安定性に乏しい。決まるとお洒落に見えるが、難易度が高いので、失敗の確率も高い。支配率を高めるパスワークではないのだ。常に難しいことにトライしている感じなのだ。即興的で高難度。奪われやすいパスワークとも言い換えられる。

 ピッチを広く有効に使えていないことも、それに輪をかける。メキシコの展開は広く大きく、ヒタヒタと「陣」を獲得するように進んでいく。対する日本には「陣」の概念がない。スペースのないところをあえて突いていく感じ。強引、傲慢にさえ見える。

 ボールを奪われる備えもできていない。奪われることを想定しながら攻めていないのだ。したがってボールを奪われるとバタバタする。メキシコはその逆。奪われることを想定しながら攻めているので、奪われても慌てない。よって、ペースは次第にメキシコに傾いていく。

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