グループリーグ最下位。ザックジャパンと世界の「決定的な差」とは? (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 日本とメキシコの対戦で記憶に新しいのは、昨夏のロンドン五輪準決勝。日本が1-3で敗れた試合だが、このときも日本は試合序盤の出来が悪くなかったにもかかわらず、時間の経過とともに動きが鈍くなり、メキシコにペースを握られていった。

 今回の対戦も、それと同じ。次第に足が止まった日本に対し、メキシコはタフだった。DF長友佑都が「同じ(中2日の)日程。コンディションは言い訳にならない」と話していたが、その通りだ。

 結局、日本はブラジルには技術やスピードで敗れ、イタリアには試合運びや駆け引きで敗れ、メキシコには運動量やタフさで敗れた。それぞれの試合において、日本は異なる要素で違いを見せつけられた。

 確かに、MF遠藤保仁が話すように「自分たちのサッカーをやり通せば、得点するチャンスは増えるし、ボールを持てる」ことは分かった。FW前田遼一にしても「いい距離感でプレイできたときはフィニッシュまでいけた」と、手応えを口にした。

 その一方で、「中盤で(ボールを)持てても、最後の場面で崩し切れない。結局、最後はゴール前での差」だと遠藤。前田もまた、「フィニッシュを決められなければ、結局はダメ」と得点力不足を痛感していた。これこそが、日本と世界との間に横たわる小さな、それでいて、決定的な差となって勝負を分けている。

 とはいえ、日本代表が世界的な強豪国を相手に僅差の勝負を演じるのは、これが初めてではない。だからこそ、DF内田篤人はこう語る。

「もう何年も『あとちょっとのところ』とか、『個人(能力の差)』とか、同じことを言っている。そういうことはきっと(強豪国と対戦するうえでの)大前提なんだろうなと思う」

 結局のところ、何年もの間、日本代表は"惜しい試合"を繰り返している。今大会においても日本代表は、ブラジル戦を除けば、自分たちのやりたいサッカーがある程度までは出せた。それは手応えであり、収穫だろう。

 しかし、裏を返せば、だからこそ負けたショックは大きいとも言えるのではないだろうか。

 遠藤が「自分たちのサッカーをやりながら勝てなかった」と話していたが、それはある意味で、自分たちのサッカーができずに負けるよりもたちが悪い。

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