メキシコ戦へ、内田篤人「消化試合で終わったらもったいない」

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Fujita Masato

 内田個人としては収穫も感じている。

「ゴール前での守備を課題にしてきたけれど、そこである程度できたのは収穫かな」

 ブラジル戦でもイタリア戦でも、内田の守備はたびたびチームを救っていた。ただ、それだけでは物足りない。何よりも公式戦では勝たなくてはならないのである。

「内容がいいから良かったというのは嫌い。悔しい? そうですね、結局負けているので」

 では、今後世界で勝ちを得るためにどうすればいいのか。分かっていることは少ないが、ひとつだけ確実なことがある。

「やっぱりイタリアは勝ち慣れていると思った。鹿島の時にも、試合内容は良く分からないけれどとにかく勝つこととか、いわゆる勝者のメンタリティというのが大事だって言われていた。オズワルド(オリベイラ)は勝った試合の後でもそれを言ってたからね。僕たちもひとつ皮がむけて勝っていけば、勝ち癖がつくんだけど」

 その表情は相変わらず淡々としている。しかし時に早口に語り続ける様子を見ていると、隠し切れない悔しさが伝わってくる。残るはメキシコ戦のみ。

「ただの消化試合で終わるともったいない。僕らは本来オフになる期間に試合に来ているので、それなりのことをしたい。日本でも朝方にテレビを見てくれてるんでね。しっかり勝って、それでここで出た反省を持ち帰りたい。勝負なので負けたくない」

 もうこの舞台に立っただけで満足できる段階ではない。そんな自覚が伝わってきた。

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