遠藤保仁が語る「ブラジル戦からイタリア戦までの4日間」 (3ページ目)

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi
  • スエイシナオヨシ●写真 photo by Sueishi Naoyoshi

「3−3になってからも守り切るんじゃなくて、勝ち切ることしか考えてなかった。チャンスもたくさん作れていたから追い付けると思っていたし、もう1本決まっていれば……。そこで決められないと、やっぱり厳しくなる」

 実際、ジャッケリーニに決勝ゴールを決められたのは、岡崎のシュートがGKブッフォンに弾き出され、香川のヘディングも枠を捉えられなかった82分のビッグチャンスの直後だった。

「4点目も自分たちのクリアミスから相手に拾われてしまった。クリアするなら、もっと大きく蹴り出すべきだし、相手も消耗していたはずだから、慌てるような場面じゃなかった。自分たちにとっての危険なエリアでは、ああいった判断ミスが命取りになる」

 敗れはしたものの、ブラジル戦で打ち砕かれた自信と見失ったスタイルを取り戻すという点で、イタリア戦の持つ意味は大きい。それは、遠藤にとっても同じかもしれない。ブラジル戦ではミスが目立ち、78分に交代を命じられていた。負けている試合で遠藤がベンチに下がるのは、ザックジャパンでは初めてのこと。翌日の練習中には、ザッケローニ監督と話し込む遠藤の姿があった。

「詳しく言えないけど、戦術面のこととか、戦い方のこととか、監督としっかりコミュニケーションを取って改めて確認できた。今日はそれが出せたと思う」

 香川の繊細なボールタッチや、岡崎の好守における力強さに沸いたイタリア戦の舞台——アレナ・ペルナンブーコ。だが、「オーレ!」「オーレ!」の大合唱を引き出した日本のパス回しの中心にいたのは、復調した「背番号7」だった。

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