遠藤保仁が語る「ブラジル戦からイタリア戦までの4日間」

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi
  • スエイシナオヨシ●写真 photo by Sueishi Naoyoshi

「プレスを高い位置からうまく(イタリア陣営を)ハメられたし、ボールもテンポよく回せた。試合の入り方はすごく良かったと思う」

 日本が優勢に進めたこの試合、チームの成長を示したのは、先制した後も積極性が途絶えなかった点である。攻撃の起点となるべく今野がドリブルで持ち上がってフリーの味方にボールを預けると、28分には長友がシュートまで持ち込むなど、守備陣も果敢に攻撃に関わった。虎の子の1点を守り抜こうとする、ナイーブで消極的な姿はなかった。

「先制してもそれで落ち着かず、2点目を取りに行く姿勢を示せたのは良かった。2点目を取ったあとも変わらなかったし。確かに前半終了間際の失点は、もっと集中しなければいけなかったけど、前半はほぼ自分たちのペースで試合を運べたんじゃないかと思う」

 後半に入ると、プランデッリ監督の檄(げき)を受けたイタリアが反撃に出る。ポストを叩いたジャッケリーニのシュートがまるで合図のように、イタリアの攻撃の手が強まった。日本は50分にオウンゴール、52分にバロテッリのPKで失点。逆転されてしまった。このイタリアのギアアップについて訊ねると、遠藤はやんわりと否定した。

「いや、そうは感じてなくて。2点目は自分たちのミスだし、3点目のハンドはアンラッキー。後半に入っても、基本的には自分たちが意図どおりボールを回せていたと思う」

 むしろ勝負を分けたのは、後半開始直後の失点ではなく、3−3に追い付いたあと、いくつもあったチャンスを生かせなかったことにある、と遠藤は指摘した。

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