ブラジル戦で浮き彫りとなった「香川×本田」共存問題 (2ページ目)

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO

 それについて、岡崎自身が補足する。

「前線で裏を狙うことで、相手のDFを引かせたかった。そうすれば、(本田)圭佑や(香川)真司のところにスペースが空くと思ったので、裏を常に狙っていた」

 だが、狙いどおりにはいかなかった。

 クロスに岡崎が頭で合わせるシーンはあっても、裏を狙えるような場面は見られなかった。ブラジルに主導権を握られ続け、日本が押し込まれていたことが大きな理由。日本がボールを奪うのは、自陣の深い位置でのことが多かった。「選手間の距離が開いていて、パスコースを探すことが多く、攻撃に時間が掛かってしまった。それで相手に守備を整えられて、囲い込まれてしまった」と、岡崎は言う。

 加えて1トップは、どうしてもポストプレイが求められる、という問題もある。身体を張ってボールを収めようとしたため、本来の持ち味である「裏への飛び出し」が発揮しにくくなってしまったのだ。後方から見ていた内田は、「オカちゃんが潰されるシーンがけっこうあった」と指摘した。

 一方、左サイドハーフとしてプレイした香川は、この一戦を「重い敗戦」だと受け止めている。

「あれだけ勝ちにいくと言っておきながら、そうした姿勢を示せずに終わったという感じで、なんかすごく悔しいというか、もったいないです」。さらに、「この前のほうが収穫はあった。チャレンジできた。今回は真剣勝負のなかで、チャレンジできなかった。それは大きな問題」とも言った。

 なぜ、チャレンジできなかったのか----。その理由のひとつとして香川が挙げたのは、前回対戦したときの試合展開が頭によぎったことだった。

「前半のどこかで去年の試合を思い出して、もう1点も失いたくないという気持ちが生まれて慎重になってしまった。前に行く姿勢や、リスクを冒す姿勢......、そういう精神的なところで後手に回ってしまった」

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