チームは下降基調。惨敗したザックジャパンに必要な次の一手 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

「0-4のときから進化したところを見せたかったが、進化し切れていないし、伸びていないなと実感させられた」

 長友もまた、昨秋の対戦時と比較して「(ブラジルとの差は)何も変わっていない。むしろ開いている」と悔しそうに話し、「中学生とプロのレベル」と両者の力関係を表現した。

 確かに、あらゆる面で両者の間には大きな差があった。攻守における1対1の強さ。ボールを持ったときの余裕など。今野は奪ったボールを味方につなごうにも、「(ブラジルの)プレッシャーがハンパなかった」と振り返る。選手にとっては、少なからずショッキングな敗戦だったに違いない。

 とはいえ、こうした結果はまったく予想できなかったものではない。今年に入り、日本代表のチーム状態が下降基調にあったことを考えれば、十分にありうることだった。

 メンバーを固定して戦うことでチームの成熟と強化を進めるザッケローニ監督のやり方は、すでに限界を示していた。11年アジアカップの優勝メンバーを中心に構成される、現在のチームは一昨年の夏から昨年の夏ごろまでの間にピークを迎え、その後は下降線をたどっていた。本田圭佑が出られるかどうかで出来に大きな浮き沈みがあったため、全体として下降線をたどっていることが見逃されてきたが、もはやそれは明らかだった。

 特に今年に入ってからは、さほど強い相手と対戦していなかったために、日本代表に漂う停滞感が大きな問題として露見することはなかったが、ブラジルレベルの相手と対戦すれば十分に起こりうる結果だった。

 ザッケローニ監督は「コンフェデ後は全員が一からの競争になる」と語っているが、少々シニカルな言い方をすれば、これで未練を残すことなく、現在のチームを解体することができるだろう。

 なまじ既存のメンバーがブラジルを相手に好ゲームを展開していたら、新戦力を加えることに躊躇する可能性もあるが、ここまで叩きのめされればそれもあるまい。少なくとも、このままでは世界のトップレベルには通用しないことがはっきりしたのである。まさかザッケローニ監督も、今のままのメンバーで戦っていけば、まだ強くなるとは思っていないだろう。

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