2013.06.13

【日本代表】イラク戦でアピール不足に終わった「控え組」の問題点

  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 一方、この試合では、日頃出番の少ない選手たちがどれだけアピールするかが注目されたが、伊野波以外は目立った活躍が見られなかった。

 ボランチの右サイドを務めた細貝萌と右サイドバックの酒井宏樹は、気持ちが先走っていて、ややテンションが高過ぎた。敵へのチェックに深く入り過ぎてしまったり、ボールを奪っても次のプレイでミスしてしまったりすることが多かった。ふたりの意思疎通が合わなくて、イラクの出足の速さに対応できないシーンも何度か見られた。

 それぞれ、ボールサイドで効果的な顔出しをしてあげるとか、イラクの勢いに同調せずに落ち着いた対応をしていれば、時間も作れて、チーム全体も楽になったと思う。それが逆に、一か八かという動きが多く、相手に隙を与えてしまった。頭を使ったプレイをもう少し心掛けてほしかった。

 2列目の左サイドに入った清武弘嗣は、果敢に仕掛けていくドリブルを見せたりして、ボールを持った"オン"のプレイは悪くなかった。問題は"オフ"の動き。トップ下の香川真司とポジションを入れ替わるとか、香川を飛び越していくとか、攻撃に変化を与える動きが少なかった。サイドからカットインして、ゴールに直結するような動きを頻繁に見せていた岡崎に比べると、物足りなさを感じた。

 1トップのハーフナー・マイクは、いいタイミングでゴール前に入ってきて決定機を生み出すなど、今季オランダで結果を残し、成長したところを随所に見せていた。ボールの収まりも悪くなく、うまくさばいてチャンスを作っていた。唯一の不満は、攻撃で深さを作れていなかったこと。味方に有効なスペースを与えるためにも、そのイメージをもっと持ったほうがいいだろう。

 こうしてみると、チームの底上げという点では不安を感じる人がいるかもしれない。しかし前述したとおり、2022年にここでW杯を開催するのが信じられないほど、最悪の環境だったことを思えば、この試合だけで評価するのは、気の毒。まして、控えの選手たちはこれまでも、周囲の選手がガラッと代わって、違ったシステムで試合に出場することが多く、常にストレスを抱えながらプレイする中で評価されてきた。

 それは、余りにも可哀相なことだし、重大な問題。今後、チーム力を上げるうえでも、今ある「11人の組織」にはまる選手が何人か出てこないといけない。それを考えれば、控えの選手たちには、改めてベストな条件で出場機会を与えるべきだし、長い目で見て評価する必要があると思う。