香川真司「チームワークだけじゃ、世界では勝てない」

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

 さらに香川は、コンフェデレーションズカップではチームの力を試し、推し量る以外にも、もうひとつ大きな意味があるという。

「今の代表は、チームとしてのアウェーでの経験値が足りない。そういう試合を経験すること自体少ないし、実際にアウェーではなかなか勝てていない現実もある。それが今回、(W杯最終予選の)イラク戦もあって、コンフェデレーションズカップという絶好の機会がある。グループリーグを突破することができれば、トータル5試合戦える。それは、チームにとってすごくいい経験になると思う。なかでも、ブラジルを相手にアウェーで戦えるのは、すごく楽しみだし、貴重な経験。単に勝った、負けたではなく、そのアウェーの経験をチームの成長に生かしていければいいな、と思います」

 香川と話をしている間、彼の口からは何度も「個」という言葉が漏れた。自我を出すことを恐れずに、自己主張すること。その重要性を自覚し、代表チームで最も発揮していかなければいけないのは、言うまでもなく香川だ。

「もっと個を高めていきたい。そのためには、ユナイテッドでの2年目が重要になってくる。チームの中で、いかに自分のプレイや自分というものを表現して、主力としてやっていけるか。その経験が、代表にもつながっていくと思う」

 ブラジルW杯まで1年。香川の脳裏に描かれているのは、自らが成長し、本田をも凌駕する個の力を身につけて、自身が中心となった日本代表が世界を驚かすサッカーをすることにある。これから彼は、そのイメージをより鮮明にしていくに違いない。

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