香川真司「チームワークだけじゃ、世界では勝てない」

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

 高い技術が備わっている選手が、あえて「気持ちの強さ」を説くところに、その重要性を理解することができる。おそらくそれは、世界トップクラスのクラブの環境や選手から、大きな影響を受けているのだろう。

「そうですね、(マンチェスター・)ユナイテッドの選手はみんな、基本的に『自分が、自分が』というスタイルで、周囲に合わせるってことがない。自分にボールを寄こせっていう選手ばかり。だけど、それだけ気持ちが強いから、しっかりと結果を残している。それは、すごく勉強になりますね。しかも、ファン・ペルシーやルーニーは、そういう部分がありながら仲間を生かせる術も知っている。自分ひとりで(チームに)"違い"を生み出せる選手なんです。

 今、代表でそれをやれているのは、(本田)圭佑くんだけ。実際、圭佑くんは(チームに)"違い"を生み出している。(本田が)いる、いないで、結果も違うので、チームにとって本当に大きな存在になっている。自分も、そういう存在感のある選手にならないといけないし、代表を勝たせる責任感をより持たなければいけない。自分はもちろんのこと、圭佑くんのような選手が他にも出てこないといけないと思っている」

 香川の言葉から、現在の日本代表が「本田依存症」になっていることがよくわかる。しかし香川は、そこから脱出しなければいけないことを人一倍感じている。

「みんな、そこ(本田依存症)から脱しないといけないという気持ちを持っているし、みんなも(ひとりひとりが)自立していかないといけないと思っている。今の代表はチームワークを大事にして、『チームのために』という考えを持った選手が多い。それは、カッコいい言い方だけど、それだけを重視してもダメ。チームワークだけじゃ、世界では勝てない。『オレがやるんだ』という強い気持ちを持った選手がもっと必要だし、そういう選手が増えていくことが、世界で勝つには不可欠なんです。ここ最近、それをすごく強く感じるようになった」

 はたして「本田依存症」から脱し、自立したチームになっていくためには、何が必要なのだろうか。

「個ですね。個を高めていく以外、ないと思います」
 香川は、きっぱりとそう言った。

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