長友佑都が振り返るオーストラリア戦。「残り10分、動揺はなかった」 (2ページ目)

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO

「誰ひとりとして、動揺することなく前を向けた。それが、最後に引き分けに持ち込めた要因だと思いますね。もちろん、勝たなければいけない試合で、そこは厳しく反省しないといけない。ただ、拮抗した展開でなかなか点を奪えず、残り10分を切った時点で先制されたのに動揺しなかったのは、ブルガリア戦と比べて、メンタル面でみんなが成長した証なんじゃないかと思いますね」

 5月30日のブルガリア戦。日本は見せ場をほとんど作れず、0−2で完敗した。後半だけピッチに立った長友は試合後、「ちょっと悔しくて試合を冷静に振り返ることができない。帰ってしっかり振り返りたいと思います。正直、今、危機感が強いです」と、不甲斐なさを隠せずにいた。

 そして長友は、ブルガリア戦の翌日からオーストラリア戦前日まで、警鐘を鳴らし続けたと語る。

「僕は、戦術面よりメンタル面に問題があると思っている。ハングリーさや球際の厳しさが足りないし、勝つためにはずる賢さも必要になる。そういう部分をもっと出していかないと。W杯まであと1年しかない。僕は本気で優勝を目指しているけど、正直、このままでは手遅れになる」

 W杯の出場権をほぼ手中に収めていることもあって、チーム内に流れる緩慢な空気を感じ取った長友は、あえて厳しい言葉をチームメイトに投げかけた。その後、ミーティングで修正点を洗い出し、メンタル面を引き締めたチームは、オーストラリアとの一戦で本来の戦う姿勢を取り戻す。

「今日はね、立ち上がりから本当に、みんなの気持ちが入っていたと思います」

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