オーストラリア戦、「本田依存症」からの脱却なるか?

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Sugimoto Tetsuhiro/AFLOSPORT

 ザッケローニ監督はブルガリア戦の前に、その試合の目的のひとつが「選手のコンディションを把握すること」だとし、「選手のコンディションは試合の中でしか把握できない」と話している。

 その論理で言えば、指揮官は本当の意味で本田のコンディションが分からぬまま、オーストラリア戦を迎えることになる。場合によっては、本田を温存するという選択肢があっても不思議ではない。

 それでもブルガリア戦の内容を考えると、多少の無理は承知で本田を出さざるをえないというのが現状だろう。

 オーストラリア戦の前日会見では、ザッケローニ監督も「本田は直近の試合(ロシアカップ決勝)で70分プレイし、少し疲労が残っているようだが、少なくともそれより長く出られるのではないか」と語り、事実上、本田の先発出場を認めている。

 とりわけ本田に期待されているのは、「決定力」である。ザッケローニ監督は語る。

「(3月の)ヨルダン戦ではチャンスはつくれたが、決定力がなかった。それを本田がもたらしてくれるなら、武器が増えることになる」

 キャプテンの長谷部誠もまた、「すべての選手がゴールに対して強い気持ちを持つことが必要」だとしながら、こう話す。

「圭佑の強みはゴールを取れること。それはチームの強みになる」

 過去の試合内容を振り返ってみても、本田がいるといないとでは、日本代表の出来には大きな差があった。今回のオーストラリア戦でも本田が戻ることで、過去の試合で見られたような攻撃力を取り戻すことが期待される。

 まして、相手が日本を体格で上回るオーストラリアとなれば、フィジカル能力に優れた本田の存在はさらに重要度を増すはずだ。

 だが、本田が戻っただけで内容が激変するとなると、それはそれで頭の痛い問題である。バルセロナの「メッシ依存症」ではないが、日本代表が「本田依存症」であることをあらためて証明してしまうようなものだからだ。

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