ブルガリア戦で見えたザッケローニ戦術の限界

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 それからおよそ2年。ザッケローニは再び3-4-3を持ち出した。亡霊のような布陣を、何を思ったか持ち出してきた。うまくいかないものとして、それこそ箪笥(たんす)の隅に片付けられていたものを、彼は再び広げて見せたのだ。

 ブルガリア戦。前半の日本は3バックが5バックにならないように頑張っていた。4バックで踏みとどまろうと努力していた。これは事実。だが、それでもサッカーは守備的(非効率的)に見えた。

 3バックとは今野、栗原、吉田の3人を、5バックとはその両翼に駒野(左)、内田(右)を加えたものをそれぞれ指す。そして、4バックは駒野・今野・栗原・吉田か、今野・栗原・吉田・内田の組み合わせになる。

 4バックで踏みとどまろうと努力していたにもかかわらず、守備的(非効率的)になってしまった理由は、4バック時の両サイドバック、駒野と吉田、あるいは今野と内田に、攻撃参加の意思が低かったからに他ならない。

 2通りあるこの4バックのサイドバックは、従来のセンターバック(吉田と今野)とサイドバック(駒野と内田)の組み合わせになっている。従来のセンターバック(吉田と今野)が、サイドバックでプレイしたとき、センターバックの感覚をひきずりながらプレイすることになる。本職のサイドバックに比べると、腰はどうしても重くなる。攻撃参加の精神は希薄だ。

 同じことは従来のサイドバック(駒野と内田)についても当てはまる。従来より腰は引けがちだ。ポジションは3-4-3の4の両サイド。ちょうど真ん中の高さにいなければいけないはずなのに、少なくとも気分は後方によりがちだ。


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