田中陽子ら「ヤングなでしこ世代」は成長しているのか? (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko photo by Hayakusa Noriko

 INACはこのPKを川澄奈穂美が決めて先制すると、その後、終了間際に川澄の技ありゴールと高瀬愛実の豪快なダイビングヘッドで追加点を奪う。結局、注目の一戦は3-0でINACが勝利し、開幕から7連勝を飾った。

 一方、敗れた浦和は、守備には手応えがあったものの、攻撃に課題が残る内容だった。奮闘した守備からカウンターに活路を見出そうとしたが、FW後藤三知が前線でキープするもフォローの枚数が乏しかった。タメをつくっている間にINACの守備は厚くなり、GK海堀あゆみ、CB田中明日菜、MF澤穂希らなでしこジャパンの選手が立ちはだかった。

 上位との対戦でいかに相手の守備ブロックを崩していくかが、今後、浦和の大きな課題となるが、平均年齢20.4歳の若いチームだけに、この敗戦から上昇のきっかけをつかんでほしいところだ。

 昨年のU-20女子W杯で一躍注目を浴びたヤングなでしこの選手たちは浦和とINACには両チーム合わせて11名在籍している(ケガで大会を欠場した京川を入れると12名)。浦和の猶本光はケガによりメンバー入りはしていなかったが、彼女たち若手の置かれている立場は、浦和とINACで対照的だ。

 INACの田中陽子は、昨季出場機会に恵まれず、ヤングなでしこの主力として注目された夏以降も途中出場がほとんどで、チームにフィットしているとは言い難かった。もちろん、彼女自身も簡単にスタメンの座が手に入らないことはわかっていてINAC入りを選んだのであり、いわば覚悟のうえの茨の道だった。

 それが今季、左サイドMFでの起用がハマり、浦和戦でも鋭い折り返しや、ドリブルでの切り込みで幾度となく好機を生みだしていた。2年目でようやくスタートラインに立った田中陽子は、先輩であるなでしこジャパンの選手たちと切磋琢磨できる環境について、「トレーニングでもAチームとBチームでは全然感覚が違う。スピードもリズムも、Aチームでプレイしなければ得られないものがたくさんある」と語る。

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