【日本代表】なぜ日本人サイドバックは欧州で活躍できるのか (2ページ目)

  • 写真●藤田真郷 photo by Fujita Masato

杉山 そういう時代になると、単に槍である以上の能力が求められるのではないでしょうか。

名良橋 今のサッカーは中盤にスペースがないし、コンパクトで攻守が一体になっています。サイドだけではなくて、中に入って仕事をすることもあるし、ビルドアップに参加することもある。周囲の選手をいかす戦術理解力も必要になっているんじゃないですか。以前は周囲にいかされるポジションでしたが、今はSBが使う側に回ることがしばしばあります。

杉山 昔は中央が主役でサイドは脇役だったのが、今は違いますよね。日本は中盤天国といわれてきて、名波、藤田、中田、中村俊輔といった選手が日本を代表していたと思います。彼らの予備軍のような能力を持つ選手もまだ日本にたくさんいる気がするんです。でも今はヨーロッパで彼らがやるポジションがなくなっている。では、彼らのような能力をどこで示せるのかといったら、下がって守備力をつけるか、前にいって突破力、得点力をつけるかのどちらかです。

名良橋 能力のある選手はいると思います。だから、日本人が他にもヨーロッパで活躍するチャンスがあるとしたらサイドですよね。

杉山 現代のサイドバックにはかなり中盤的な能力が求められているわけじゃないですか。しかも戻るときの勤勉さは他の国の人よりあると思うんです。

名良橋 それは日本人が一番あると思います。

杉山 外国の選手は結構、戻らないですよね。

名良橋 適当な感じで戻ったり、自分のミスでもあまり真剣に戻らなかったりしますよね。日本人は基本、帰りますよ。監督にしたら使い勝手はいい。

杉山 槍としての能力だけで比べられたら辛いかもしれないけど、ある程度テクニックがあって、中盤の選手的にジワジワ上がっていける。それで戻ることも厭わない。もしかしたらこれはヨーロッパで一番求められているところかな、という気がするんです。

名良橋 運動量もあるし、監督の言うことを徹底して実行することもできますから。

杉山 日本の選手を見ていると、なぜあんなに真面目なのかと思うほどだし、長友選手らの運動量なども尋常ではありません。 

名良橋 ドルトムントやバイエルンの試合を見てると、ヨーロッパでも走行距離は伸びています。SBだけでなく、リベリー、ロッベンといったサイドの前の選手も守備をやっているじゃないですか。

杉山 逆にリベリーやロッベンが守ってくれると、SBとしては随分楽でしょう。

名良橋 すごく楽です。だから前の選手とのコンビネーションは大事ですね。自分が上がって相手ボールになる。裏のスペースをとられる。そこで中盤の選手が帰ってくれると楽になります。とりあえず自分は中盤のところまで帰ればいい。

杉山 名良橋さんの前に岡崎がいればすごく楽だということですね。内田選手もそれで助かっているところはあるんだろうな。

名良橋 あの二人はコンビネーションがいいですね。長友選手と香川選手の左サイドもいいと思う。そのコンビネーションがいいと、SBは自分のよさを出すことができる。

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