【日本代表】なぜ日本人サイドバックは欧州で活躍できるのか

  • 写真●藤田真郷 photo by Fujita Masato

ケガの長友佑都(インテル)に代わり、左サイドバックとしてヨルダン戦に先発フル出場した酒井高徳(シュツットガルト)ケガの長友佑都(インテル)に代わり、左サイドバックとしてヨルダン戦に先発フル出場した酒井高徳(シュツットガルト)サイドバックの時代~後編

 攻守両面で重要性を増しているサイドバック(SB)というポジション。長友佑都、内田篤人、酒井高徳ら、海外でプレイする日本人SBの活躍も目立つ。なぜ彼らは欧州で確固たる地位を築けたのか。サッカー指導者・解説者で、現役時代は日本代表、鹿島アントラーズなどでSBとして活躍した名良橋晃氏と、サッカーライターの杉山茂樹氏が語り合った。

杉山 今も3バックを採用するチームはありますが、ひと言で3バックといっても、フォーメーションの変化でウィングバックの位置は変わりますよね。

名良橋 現在の3バックは、3人のDFがなるべく間隔を開こうとしていますが、昔はひとり余らせて、2人がストッパーで、なるべく中央をしめてウィングバックを引かせるというやり方でした。そうすると5バックになってしまうのですが。僕も今の3バックでサイドをやってみたかったですね。

杉山 フランスW杯の日本代表も3バックで戦いました。

名良橋 あのときは井原(正巳)さんを余らせて、秋田(豊)さんと中西永輔を相手の2トップにあて、サイドはウィングバックが消す。5バック気味でした。それでもウィングバックが前に出ないとなかなか攻撃の形ができないので、そういう意味ではやはり運動量が求められるポジションでした。初戦のアルゼンチン戦では、僕の対面がシメオネであまり出てこなかった。だから僕も前にいくチャンスがあった。逆にアルゼンチンの右はサネッティだったので、相馬君は押し込まれることが多かった。2戦目のクロアチア戦のときは、僕の前がヤルニという選手で、これはどんどん来ました。ただしあのときは暑くて、徐々にクロアチアの運動量が減り、これはいけるな、と思うようになりました。

杉山 SBには1対1で相対する感覚があるでしょう。中盤の選手にもあるけど、サイドにはほぼ同じような相手が必ず前にいる。そういう意味では個人競技的ですね。

名良橋 固定されているポジションですからね。だから対面の選手には負けたくない。その駆け引きの醍醐味があります。そこで押し込めるか、押し込まれるか。押し込まれて自分の良さを消されると、自分でもフラストレーションがたまってくる。そういうときは逆にどんどん上がってしまえばいいんだけど、そこで中盤の選手がカバーしてくれないと、さらに押し込まれることになる。葛藤がありました。

杉山 今はサイドバックの前に、もうひとり中盤の選手がいるサッカーが主流です。そこにポスト的にあてて、というやり方もあります。

名良橋 そういう意味では2人のコンビネーションが大事ですね。自分の良さを発揮しなければならないし、前の選手の良さも発揮させなければならない。

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