【日本代表】内田篤人、酒井高徳...サイドバックの役割が変わった (4ページ目)

  • 写真●藤田真郷 photo by Fujita Masato

杉山 戻るの、嫌じゃなかったですか。

名良橋 嫌でしたね。

杉山 SBといえばオーバーラップと言われるけど、上がったらその分だけ戻らないといけないということは、誰も言わないんですよね。

名良橋 そうなんです。上がっていったとき、途中で味方の選手がミスパスをして相手に裏のスペースをとられるというのが一番嫌でした。ここでミスするなよ、こっちは戻らないといけないんだよ、と。

杉山 その後、クラブでもSBをやるようになったんですね。

名良橋 フジタ(ベルマーレの前身)では最初はやはりFWだったのですが、代表からチームに戻ったら「SBやってみろ」と。そのときは4バックのSBだったので、少し動き方が違ったけれど、守備から入りながらも、積極的にがんがんいってました。やっているうちに、これは自分のスピードがいかせるポジションだ、と思うようになりました。

杉山 最初は左SBでしたが、いつから右に?

名良橋 チームに岩本輝が入ってきて、当時のニカノール監督が「じゃあお前、右利きだから右やれ」と。ブラジル人なんで攻撃的なサイドバックが好きだったんです。

杉山 ブラジルではSBはすごく人気があるポジションなんです。前も後ろも、ライン際の選手は人気があった。カズから、スタンドの目の前だから何か芸をすると盛り上がるんだという話を聞いたことがあります。

名良橋 だからライン際でまたいでいたんだ(笑)。客席に近いというのは確かにあって、いろいろな声が聞こえてきます。「戻れ」とか「しっかりやれ」とか、がんがん言ってくる。でもそれがやりがいにもなる。外国では、ものも飛んでくるじゃないですか。だから一度ヨーロッパでやってみたかったなという気持ちはありますよ。

杉山 ロベルト・カルロスもカフーも、観客の声援に押されて出ていくという感じがしました。

名良橋 鹿島もそうでしたよ。声で攻撃に上がる意欲がわいてくるんです。
(続く)

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る