【日本代表】ボランチ・高橋秀人。「4番目の男」では納得できない (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 さて、高橋が代表入りしてから、そろそろ1年が経過する。試合の出場時間は少ないものの、メンバーと一緒の時間を過ごす中で、チームの成長具合というものは見て取れるはず。3月26日のヨルダン戦に勝てば、5大会連続でW杯出場を決める、日本代表の実力については、どう見ているのだろうか。

「あまり試合に出ていないし、チームの成長とか語れる立場じゃないんですけれど、結果は出ていますし、いいサッカーをしていると思います。それは、間違いないです。でも、これからさらにチームを高いレベルに持っていかなければいけない。そのためには、やはり個を伸ばすことが大切でしょう。それぞれの選手が力をつけて、それを組織で生かすことができれば、1+1が3になるかもしれないですから。

 あとは、昨年の欧州遠征のように、世界の強豪国とたくさん試合を行なうこと。例えば、フランスのように懐(ふところ)の深い選手たちとどう戦うかというのは、経験していくしかない。欧州でプレイする選手は、それを普段から経験できるけれども、Jリーグでプレイする選手はなかなか経験できないですから、余計にその必要性を感じます。僕は、外国人相手のほうが燃えるんで、できるだけ多く海外の代表と戦って、個を磨いていきたいですね」

 言葉の端々から「海外でもやれる」という自信が感じられた。海外志向が強いのだろうかと思ったが、本人の答えは違った。

「海外? ダメですね。メンタル弱いんで……」と言って苦笑した。

 いよいよブラジルW杯まで残り1年。高橋にはその舞台に立つイメージが出来上がっているのだろうか。

「あまり考えてはいません。目標とかあまり立てないし、逆算して物事をとらえたりしないんです。(本田)圭佑さんとか(長友)佑都くんは、何年後にはこれだけステップアップしてこうなっているとか、すごく考えているけれども、僕は1年先、2年先を考えてしまうと、足元が疎(おろそ)かになるというか、地に足がつかなくて、何もしなくなってしまうんです。計画を立てただけで、『自分はすごい』と勘違いしてしまう。そうやって計画したことを実行できないのが、自分に足りないところかもしれません。もうワンランク上に行くには、そこが大事ですね」

 1年後はわからなくても、「ヨルダン戦に出ていたいし、コンフェデレーションズカップには出場したい」という高橋。これからどれだけレギュラー陣との差をつめ、彼らを脅かすことができるのか。日本代表がより強くなるためには、“4番目の男”の台頭が不可欠だ。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る