【なでしこ】課題山積も、惜敗のドイツ戦で予想以上の収穫あり (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko photo by Hayakusa Noriko

 大儀見は、ドイツとの対戦を振り返り、「ああいうピッチで、ボールを蹴れなくなったり、相手を止められなかったり、パワーを発揮できなくなるのは日本の弱点」と厳しく分析。それでも、「次につながると感じたし、これからが楽しみなチームだと思った。もともとあった形から進化しつつある。チャレンジはどんどんしていった方がいい」と、手応えをつかんでもいた。

 ここまでの2戦は問題山積だ。身体の使い方、ボールの動かし方、コンビネーション……。課題を克服しているとは言い難い。しかし、これまでと同じスタイル、同じやり方ではいずれ行き詰まる。攻守両面でチームのベースを上げるために、ここから1、2年は地道な積み重ねの作業になるはずだ。2008年の北京五輪後も、佐々木監督は時間をかけて、チームの基礎となる部分をつくってきた。

 結果にこだわることも大事だが、勝利を追うあまり手堅いプレイに終始して、チャレンジをしなかったら成長は見込めない。

 たしかにこのアルガルベカップでは、結果は出ていない。しかし、佐々木監督はそのリスクを覚悟していたはずだ。だからこそ、チャレンジを続ける。すぐには表れてこない未来の成果を手にできるかどうかは、選手たち次第だ。

「チームとしてやるべきこと、自分のやるべきこと――。最終的にそのプレイの選択をするのは自分自身だから、そのプレイが、成功だったとしても失敗だったとしても、振り返ったときに次につながるプレイだったと思えるようなチャレンジをどんどんしていこう」

 ドイツ戦の前、大儀見がロッカールームで選手たちに伝えたこの言葉のとおり、新生なでしこは残り2戦をさらに有意義なものにできるか。11日のデンマーク戦、13日の順位決定戦に注目したい。
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