【日本代表】川島永嗣「選手の意識の高さが、今のチームの強さ」

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 川島の言葉からは、長谷部と同じようなチームリーダーとしての自覚が読み取れる。それは、自分に対する自信の裏づけでもあるのだろう。実際、川島は昨季まで所属していたリールセ(ベルギー)で主将を務めるなど、チームの躍進に貢献した。その活躍が認められ、今季はベルギーのトップクラブであるスタンダール・リエージュに移籍。着実に進化を遂げている。

 一方、川島は日本代表の南アフリカW杯以降の成長について、どう評価しているのだろうか。

「今のところ、チームは順調に成長していると思います。例えば、攻撃のバリエーションは増えていますが、それは南アフリカW杯のときに感じた課題で、個人としても、チームとしても、そのことをずっと考えながらやってきた。その結果、今はいくらか多彩な攻撃ができるようになってきました。でもそれは、まだ継続してやっていることの延長線上であって、決して満足はしていません。実際、欧州遠征でフランス、ブラジルという強豪と対戦して、組織としてだけではなく、個人で打開する、という部分も大事だとわかった。そのためには、もっと個で経験を積んで、個の力を伸ばしていかないといけないと思っています」

「順調」であると言いつつも、川島は楽観視していない。2013年初戦のラトビア戦でも、3月のW杯最終予選ヨルダン戦を見据えつつ、今後の日本を占う意味でも重要な一戦と捉えて、ふたつのテーマを課していた。

「ひとつは、(選手が)パッと集まった状況で、どれだけいいパフォーマンスを発揮できるか。昨年は、W杯3次予選のウズベキスタン戦(2012年2月29日/0●1)、親善試合のベネズエラ戦(2012年8月15日/1△1)と、メンバーが合流してすぐの試合だと、なかなかいい内容のゲームができなかった。まずはそのイメージを打ち砕き、調整時間が少なくても、高いパフォーマンスを発揮できるようにしていかないといけない。もうひとつは、昨年のオマーン戦(11月14日)からしばらく時間が空きましたが、その間、選手個々が各所属チームでどれだけ成長してきたのか。代表チームとして力を試すいい機会なので、それをしっかりと見極めたい。そのために、結果だけじゃなく、内容、プレイの質にもこだわって試合をしたいですね」

 はたして、試合は3-0で勝利した。欧州組の調子が今ひとつだったせいか、前半は全体の動きが少なく、散漫な試合展開だったが、後半はボールが回るようになって、動きの質はかなり良くなった。

 試合後、川島は「悪くなかったが、全体的にもう少しアグレッシブにやれたら......」と語った。試合前に掲げたテーマについては、決して満足していなかった。だが、格下相手とはいえ、しっかりと結果を出したところに、今のチームの強さがあるという。

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