【なでしこ】今季も戦力充実のINAC神戸。女王を脅かすクラブは現れるのか? (2ページ目)

  • 松原渓●取材・文 text by Matsubara Kei
  • photo by Getty Images


 新加入選手では、全日本高校女子サッカー選手権で連覇を果たした常盤木学園高校のエース、道上彩花が注目を集めている。170 cm65kgの恵まれた体格を生かし、昨年のチャレンジリーグで30ゴールを決めて得点王に輝いた新人FWは、オフの自主練習からチームに合流。道上は昨年、練習生として開幕前の鹿児島・沖縄合宿に参加しており、アメリカのクラブチームとの試合では決勝点を決めるなど、その実力はすでに証明済みだ。

 昨シーズン個人三冠(得点王、MVP、ベストイレブン)を獲得した高瀬愛実も「フィジカルはもちろんすごいですけど、スピードもあるし、技術もある。素直にすごいな、という印象です」と、道上の能力の高さに驚きを隠さない。

 また、藤枝順心高校から、50m6秒6の快速FW平野里菜、169cmの高さと技術を備え、複数のポジションをこなすユーティリティプレイヤーの山田真帆、小柄だが運動量と展開力が武器のMF今井晴香の3選手が加入。代表勢も含めタレントが豊富なINAC攻撃陣にあって、高卒ルーキーがポジション争いにどれだけ食い込めるか。大野が抜けた穴は大きいが、彼女らが戦力として活躍すれば、攻撃陣の選手層はさらに厚みを増すだろう。

 そのINACの対抗馬となるのは、今年も日テレ・ベレーザ(昨季2位)、岡山湯郷Belle(同3位)、浦和レッズレディース(同4位)だろう。

 ベレーザは、岩渕真奈(ホッフェンハイム)に続いて永里亜紗乃がドイツ行きを決断。姉の大儀見優季が所属するポツダムへの移籍が発表された。また、背番号「10」をつけてチームの攻撃を牽引した伊藤香菜子が狭山へ移籍するなど、主力が抜けた影響は小さくない。

 しかし、下部組織のメニーナからリトルなでしこ(U-17)世代を中心とした若い才能が昇格してきており、将来有望なタレントは多い。その新生ベレーザで指揮を執るのは、メニーナで長く指導にあたり、多くのなでしこリーガーを育ててきた寺谷真弓監督。「鬼軍曹」の異名も持つ寺谷監督の指導力には定評があり、選手からの信頼も厚い。岩清水梓、阪口夢穂を中心とした新チームが、どのようなスタートを切るのか興味深い。

 そして、ベレーザ以上に戦力に大きな変化があったのが浦和だ。山郷のぞみ、荒川恵理子というベテランがそろって狭山へ移籍。また、経験豊富な矢野喬子、柳田美幸、土橋優貴、庭田亜樹子が引退を発表し、世代交代を迎えることとなった。

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