【なでしこ】次世代のストライカー・京川舞が歩む「世界のトップ」への道 (4ページ目)

  • 松原渓●取材・文 text by Matsubara Kei
  • photo by AFLO SPORT

 理想とするストライカーは、2012年のJリーグで得点王・MVP・ベストイレブンの3冠を達成した佐藤寿人(広島)だ。

「佐藤選手のワンタッチゴールを参考にして、動き方をよく見ています。DFとの駆け引きや裏に抜ける動きはすごく勉強になります。DFの視界から消えて、もう一回出てくるあのタイミングは、ひとりではできないじゃないですか。パスを出す選手との呼吸を合わせることや、コミュニケーションが大事だなとすごく思います。海外ではバルセロナのアレクシス・サンチェス選手のプレイも好きです」

 憧れのなでしこジャパンに入るためにも、「世界」は常に意識している。昨年11月の国際女子クラブ選手権で、INACは欧州王者のリヨンと対戦。京川はピッチの外から見守ったが、代表選手が集うトップレベルの戦いに大いに刺激を受けた。

「世界のトップはすごいなと思いました。このレベルでもっとやっていかなきゃいけないんだなと。リヨンの右サイドの(エロディ・)トミスの速さにはびっくりしました! あれはズルいですよね(笑)。ただ、INACのポゼッションサッカーが通用する部分もあったので、日本はポゼッションの部分でレベルを上げていく必要性を感じました。自分は足元の技術がまだないので、もっとレベルアップしたいです!」

 大ケガを乗り越えて迎えた2013年、その胸には熱い決意が秘められている。

「新シーズンは、まず何よりもケガをしないことが目標です。出場機会をたくさんもらえるように練習して、毎試合ゴールを決めること、そしてチームに貢献して、その結果がタイトルにつながればいいなと思います。昨シーズンは高瀬さんが得点王をとったので、自分もそれを目標に頑張りたいです。それと合わせて、なでしこジャパン入りも目標です」

 ケガに泣いた2012年の悔しさを胸に、彼女は今シーズンどんな活躍を見せてくれるのだろうか。現在のINACは前線にゴーベルヤネズ、川澄、高瀬愛実ら錚々たるメンバーが揃うだけにポジション争いも激しく、定位置を得るのは容易ではない。2年後のW杯カナダ大会、3年後のリオデジャネイロ五輪に向け、なでしこの未来のエース・京川舞の世界のトップを目指す挑戦が始まる。

Profile

京川舞(KYOKAWA Mai)
1993年12月28日生まれ(19歳)茨城県小美玉市出身
DF 161cm 
背番号 14
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