【日本代表】福田×名波が指摘する「W杯8強へ、埋めるべき『世界との差』」 (4ページ目)

  • 小室 功●取材・文 text by Komuro Isao
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

福田 変な話、Jリーグやアジアレベルだと寄せないほうがいいときもあるからね。

名波 そうなんですよね。

福田
 例えば、バイタルエリアで相手にボールを受けられると、なぜ守備側は嫌なのかというと、前を向いて仕掛けられたり、シュートを打たれたりするから。簡単にそれをさせたくないので、素早くアプローチする。でも一方で、バイタルエリアに入ってきた敵に寄せていくと、DFラインにギャップができやすいというデメリットがある。そこの兼ね合いを判断しないといけないわけだけど、Jリーグやアジアレベルだと一発で前を向くFWが少ないし、すぐにバックパスしてくれるので、ボールが入ってからアプローチに行っても間に合う。こういう守備意識で対応していると、ブラジルのような選手からボールを奪うのは難しいし、ミスを誘発することもできないだろうね。「前を向かれるとやっぱり怖い」というFWと普段からやり合っていれば、自然とアプローチの距離感も変わってくる。その点、欧州でプレイしている選手の守備意識はどんどん研ぎ澄まされていくと思うよ。

――ブンデスリーガでプレイする内田篤人選手はリベリーとか、プレミアリーグの吉田麻也選手はルーニーなど、世界トップレベルの選手とマッチアップしてしますからね。

福田 そういう実戦経験こそが、選手の守備意識を変えてくれる。

名波 日本の選手たちは、カカのことを「もうピークを過ぎた選手だと思っていたらとんでもなかった」と言っていた。そんなカカを含めて、ネイマールのスピード感とか、後方からどんどん上がってくるパウリーニョやラミレスの迫力とか、実際に体験してみて、得るものがたくさんあったと思う。感覚的な部分なんだけど、そういうことが、世界の強豪と戦ったときに得られる貴重な収穫であって、間違いなく先々につながっていくでしょ。

福田「もっと寄せたほうがいい」と、いくら言葉でいってもやられないとわからないからね。そこに気づくためには、実際に戦ってみるのがいちばんなんだよ。

  
福田正博(ふくだ・まさひろ)

1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。言わずと知れた「ミスター・レッズ」。1995年Jリーグでは日本人初の得点王に。引退後、2008年から3年間、古巣・浦和レッズのコーチを務める。現在はサッカー解説者として『S☆1』(TBS)など各メディアで活躍。


  
名波 浩(ななみ・ひろし)

1972年11月28日生まれ。静岡県出身。ジュビロ磐田の司令塔として活躍し、日本代表では「10番」を背負って初のW杯出場に貢献した。引退後はジュビロのアドバイザーを務めるとともに、テレビ朝日『やべっちF.C.』などサッカー解説者として奔走している。

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