【日本代表】福田×名波が指摘する「W杯8強へ、埋めるべき『世界との差』」 (3ページ目)

  • 小室 功●取材・文 text by Komuro Isao
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

名波 ちょっと気になったのは、前半のうちに2点取られて、後半すぐに3点目を取られたのに、選手たちからはしょんぼりと落ち込む感じもなく、かといって「取り返そうぜ」という雰囲気もなく、淡々としていたこと。少し前の代表チームだったら、後ろからガンガン声を出す選手がいたと思う。まあ、テストマッチだったからなのかもしれないけど、そこはもう少し熱くなってもいいんじゃないかな、と思った。今のチームの強みが平常心で戦えることであったとしても……。

福田 相手がブラジルというのがあったかもしれない。結果ではなく、自分たちの力がどれくらい通用するか、とにかくやってみたい、と。スコアにとらわれず、そっちにばかり意識がいっていたかもしれない。でも、W杯本番ではそれじゃいけない。まして、前回大会(ベスト16)より上を目指すならば、世界の強豪国に勝つためにどうしたらいいか、徹底的に考えて強化しないと。

――世界トップレベルと対戦し、改めて感じた世界との差、というのは何かありますか。

福田 欧州でプレイする選手が多くなって、個々のレベルが上がってきたのは確かだけど、まだまだ1対1では分が悪い。それは攻守両面で言えること。もちろんサッカーはチームなので、個々で戦うわけではないけれども、そこはこれから、少しでも埋めていかないといけないと思ったね。

名波 守備面で言えば、どれだけ相手に自由を与えないか、ということ。ボールアプローチの部分で、もう一歩、もう半歩寄せられるかどうかが、これから大事になると思う。相手にスペースと時間を与えなければ、考える余裕を奪えるわけで、相手には少しでも横向きに、後ろ向きにプレイさせて、いい選択肢を与えないようにしないといけない。そこが、肝心なところなんだけど、ブラジルの選手が相手だと、こっちは寄せているつもりでも、前を向かれてしまっていた。

福田 その差が、実は世界との大きな差かもしれないね。アプローチしたとき、アジアの選手ならミスをしてくれるけれど、ブラジルの選手はミスをしてくれない。ちょっとでもスペースと時間を与えたら、前を向かれて、一気にゴール前まで持っていかれる。こっちの感覚だと「スペース、ないでしょ」というところでも彼らは平気でプレイするからね。

名波 どのくらい寄せれば相手の自由を奪えるか。そこは、本当に経験を積んでいかないとわからない領域だから、Jリーグやアジアレベルで戦っているだけでは、なかなかつかみきれないかもしれない。

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