【日本代表】福田×名波が採点する「2012年のザックジャパンは、80点」 (3ページ目)

  • 小室 功●取材・文 text by Komuro Isao
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

福田 欧州組の選手は、常に勝つことを義務づけられているチームで、試合の始まる前から終わる瞬間まで、気が休まるようなことがない。そこで、日々戦っている経験は本当に貴重だし、身になる。そんな彼らが、いかに自分のメンタルをコントロールしてプレイしているのか、厳しいプレッシャーの中でどう対処しているのか、というのは勉強になる。例えば、長友はサネッティ(インテル/アルゼンチン代表)から学ぶことが多いと話していたけれども、そんなふうに世界のトッププレイヤーの感性を受け継いでいる、手本となる選手が身近にいるというのは大きいよね。

――振り返れば、2011年にはアジア3次予選で北朝鮮に敗れ、年が明けて2月のウズベキスタン戦も0-1で日本は負けました。最終予選に向けて、一抹の不安や心配はありませんでしたか?

福田 特に、そういうことはなかった。北朝鮮戦はアウェーで、独特の雰囲気の中での試合だったし、すでに3次予選突破を決めていたから大幅にメンバーを代えていた。さして気になる敗戦ではなかった。

名波 でも、ウズベキスタン戦は酷い試合だった。

福田 いいところがまったくなかったね。

名波 残り10分は、ウズベキスタンにやられっぱなし。結果は0-1だったけど、GK川島のファインセーブがなかったら、3点くらい決められていたんじゃないかな。2012年のワーストゲームだろうね。

福田 ボランチの遠藤(保仁)と長谷部(誠)がきっちり抑えられたし、前で起点が作れないから、ボールも動かなかった。あの試合は、本田がケガで、前田(遼一)も不在。ボールを無理に前に運ぼうとして、後ろが手薄になったところをやられた。でも、本田や前田が戻ってくれば、チーム力は確実に上がる。だから、僕自身は不安や心配などはなかったけどね。

名波 本田や前田は、チームにとって代えの利かない選手だからね。特に今は、ラインの背後をとる動きをはじめ、リアクションしたり、前で時間を作ったりできる選手は前田くらいしかいない。ボールをしっかり動かしながら攻める、今の代表チームの良さを引き出すためには欠かせない存在。彼がいるのといないのとでは、やはり違いますよね。

――ワーストゲームという話が出たので、ここで2012年の日本代表のベストゲームも聞いておきたいと思います。

福田 そりゃもう、(最終予選)初戦のオマーン戦でしょ。左サイドで起点を作って、右サイドから詰めるのを攻撃のひとつの形にしているけれど、オマーン戦の先制ゴール、長友の突破に、本田のボレーシュートは実に素晴らしかった。何より、早い時間帯だったのが良かった。あのゴールで緊張感がかなりほぐれたと思うし、3-0の快勝につながった。日本の強さ、格の違いを見せつけたよ。

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