2012.12.06

【日本代表】ザックジャパンの変質。長谷部誠の位置はなぜ下がったのか

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

青は4-2-3-1の基本形。試合中、日本代表は赤のような配置(3-4-2-1的)になることが多い。香川が左サイドで出場する場合は、その傾向はより顕著になる。重心は自ずと4-2-3-1の基本形より後ろになる 前方にポスト役を果たしてくれる協力者はいない。よって彼らは高い位置まで進出する必要に迫られている。ゴールライン付近まで強引にも単独でボールを運び、折り返す......それが当たり前の姿になっている。

 攻め上がったサイドバックの背後はその時、危険にさらされた状態にある。そこは誰かがカバーに入る必要に迫られている。こうしたシーンが頻繁に起きることも、長谷部、さらには遠藤のポジションが下がり気味になる原因のひとつになる。

 4-2-3-1の「3」の両サイドには、縦に強い(宮市のような)「槍」系の選手と、中にカットインで入っていくタイプに大別される。岡崎は中間タイプだろう。香川、清武はカットインタイプになる。ザッケローニも香川をサイドで使う理由について「カットインするプレイに期待している」と述べているが、実際には香川が外からカットインで切れ込んでいくシーンは少ない。

 カットインとは、外に構えながら中の様子をうかがいつつ、ドリブルで攻め入るプレイを指すが、香川、清武は、最初から中にポジションを取っていることが多い。1トップ下の本田と接近した位置にいる。

 すなわち、センターフォワードが外に流れない限り、中央には4人が構えることになる。本田はその場を離れて下がってボールを受けたがるが、前線で構える4人の関係だけを考えると、本田のプレイには道理を感じる。だがそれが、遠藤、長谷部のポジションを下がり気味にさせていることも事実。本田が下がった時、遠藤や長谷部が彼を追い越し、前に出ていけば前線は乱立気味になる。

 本田と遠藤は自ずと近い位置で構えることになる。遠藤の存在感はその結果、薄まることになる。岡田ジャパン時代の遠藤と、現在の遠藤とを比較すれば、差は歴然だ。4年前の方がパス回しの起点として、チームに欠かせない選手になっていた。