【なでしこ】
競争相手は世界のトップ。大型FW大滝麻未が着実に成長中

  • 松原渓●取材・文 text by Matsubara Kei
  • photo by Getty Images

■「夢のような」最高の環境で、さらなる成長を目指す

 選手全員がプロ契約を結んでいるリヨンでは選手には車が支給されるが、本人は運転免許を持っていないため、基本的に移動は自転車(マウンテンバイク)だという。

「オフは家にいて、家族とスカイプしたり買い物に行ったりしています。リヨンには買い物をするところがいっぱいあるんですよ。ベルクールから、ホテルドゥヴィユへの道がショッピングストリートみたいな感じで雰囲気が良いし、ショッピングモールとは違った雰囲気が好きでよく行っています。レストランは旧市街の方によく行きますね。新市街に比べるとコテコテしたリヨン料理、ソーセージの煮込みとか、家庭的な料理が多いです。でも最近は自炊が多いかな。豚肉が安いので、生姜焼きをよく作ります。やっぱりお米は食べたくなります。お米は日本からリヨンに来る時に持ってくるようにしているし、こっち(フランス)で作っている日本ブランドのお米もあるんですよ」

 欧州で経験を積む大滝が、なでしこジャパンデビューを果たしたのは、2012年6月のスウェーデン遠征。なでしこジャパンの合宿に初招集され、スウェーデン戦で初出場。その後、ロンドン五輪にはバックアップメンバーとして約1カ月間チームに帯同した。

「初めてなでしこの合宿に参加して、すごいと思ったのは大野さんです。自分にはないものを持っているからかもしれませんね。自分はドリブラーになれないと思うし、本当にすごいと思います。代表は、動きが良ければ選ばれるしダメなら選ばれません。意識してしまうと絶対に硬くなってしまうから、まずは目の前のことをしっかりやって、結果がついてくればいいなと思います」

 今回、日本で開催された「国際女子サッカークラブ選手権」は、大学卒業後、なでしこリーグに入ることなくプロとして海外に挑戦の場を求めた大滝にとって、初めて味わう日本のトップクラスの選手たちとの試合だった。そして、それもまた、欧州の舞台と同様に刺激に満ちていたという。

「大学を卒業してまだ1年経っていないんですけど、いろんなことを経験しすぎて夢のような感じもします。これまでの経験はこの先必ず自分の糧になると思っているので、この経験を無駄にしないようにしたいです」

 2011年女子ワールドカップドイツ大会以降、フランスでは、国内リーグの平均観客数が7千人に増え、主要なリーグ戦はテレビで生中継されるようになったという。そんな中で、フランス女子代表の主力が14人も顔を揃える最強女子クラブ・リヨンに対する注目度の高さはフランス国内だけにとどまらない。最高に恵まれた、最高に厳しい環境でチャレンジを続ける大滝麻未のさらなる進化に期待したい。


Profile

大滝麻未(OTAKI Ami)
1989年7月28日生まれ(23歳)神奈川県平塚市出身
FW 172cm 
背番号 22

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