【なでしこ】競争相手は世界のトップ。大型FW大滝麻未が着実に成長中 (2ページ目)

  • 松原渓●取材・文 text by Matsubara Kei
  • photo by Getty Images

 大滝のデビュー戦は2012年3月21日のUEFA女子チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝、リヨン対ブロンビー (デンマーク)戦。2カ月後の5月に行なわれたCL決勝には、88分から途中出場し、女子CL決勝のピッチに立った3人目の日本人選手となった(ポツダムの大儀見優季とフランクフルトの熊谷紗希に続く3人目)。

 今シーズンは現在までリーグ戦5試合に出場し4得点。CLでは1ゴールを決めるなど、徐々に感覚をつかんでいる。

 172cmの長身を生かした空中戦と、足元の技術、抜群のゴールセンスで大学時代はゴールを量産した大滝だが、各国代表クラスのストライカーが集うリヨンでは、身体能力、技術、スピードやパワーなど、すべてにおいてさらに上のレベルが求められている。

 リヨンのサッカーの特徴は、常に高い位置でボールを持ち、縦に速い攻撃だ。特に、「あの速さは日本にはない」と大滝も舌を巻く、右サイドのエロディ・トミス(フランス代表)の驚異的なスピードは、先日の「国際女子サッカークラブ選手権」でもベレーザとINAC神戸のDFに脅威を与え続けた。

 そのサッカーを実現するため、身体能力の高さはもちろんのこと、攻撃の選手には動き出しの初速のスピードと、加速力の両方が必要とされる。

「縦に速いのがリヨンの特徴ですが、そのスピードには慣れてきましたね。それと、昨シーズンは身体で当たり負けているところが多くて監督から怒られることもありましたが、今シーズンに入って、なでしこでの経験もあるし、身体が慣れてきたのもあって、そういう面の強さには手応えが出てきました。前は飛ばされていましたが、体幹を鍛えたことが大きいと思います」

 リヨンの練習は、午前中の1時間半から2時間の中で、量よりも質を追求したトレーニングが行なわれるため、日本での練習に比べると物足りなく感じることもあるという。その分、大滝は家で体幹を鍛えるメニューを中心とした自主トレーニングで補っている。

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