【日本代表】ザッケローニ監督は選手の能力を本当に把握しているのか (2ページ目)

  • photo by Yamazoe Toshio

杉山 要するに、ザックジャパンにはヒエラルキーがあるんだと思うよ。ザッケローニ監督の中には、選手の序列が明確に決まっているんじゃないかな。

浅田
 それは言えますね。結局、本田は外せないのか......、と何か釈然としないものを感じました。

杉山 常識的な選手交代は、勝っていても負けていても、ひとり目の交代がだいたい後半15分から20分くらい。そして、30分前後にもうひとり入れて、勝っているときは余裕残しておいて、40分過ぎに最後のひとりを投入するっていうのが、普通のパターンだと思うんですよ。もし流れが悪ければ、それぞれ10分前倒しにする感じ。ところが、ザッケローニ監督は、40分以降にバタバタと交代させるイメージが強い。そこで出場する選手はちょっと可哀相だよね。ボールをまったく触らないことだってあるし。

――それでも、オマーン戦では酒井高徳選手と細貝萌選手の投入が当たりました。あらゆるメディアで「采配的中!」と評されました。

杉山 あれは、結果オーライ。引き分けでOKという交代をしたら、選手ががんばってくれて、思いも寄らなかった点が入っちゃっただけ。それは、ザッケローニ監督だってわかっているよ。つまり、あれを「見事な采配だ」と騒ぐほうがおかしい。

渡辺 何にしても、後手、後手に回ったときの選手交代はちょっと怖いというか、心許ない気がするね。

杉山 監督の能力を見るにはポイントがふたつあって、ひとつは試合前に決める基本的な戦術やメンバー配置。そして、もうひとつ重要なのが試合中のメンバーチェンジ。強いチームを相手にして番狂わせを起こすには、目の前の試合の状況を分析して、敵を混乱させて自らに流れを引き寄せる選手交代の能力が絶対に求められる。ただそれが、ザッケローニ監督の采配からは今のところ見えてこない。

渡辺
 流れが悪ければ、思い切って2枚(選手を)代えしてもいいと思うことがあるけど、そういうシーンを見たことない。

杉山 そう。一気に3人代えてもいいと思いますよ。とにかく、世界の強豪を驚かせるような采配を見せてほしい。別にアジアで勝つだけでいいなら、何も文句は言いません。でも、目指しているのは世界で勝つことでしょ。ならば、そういうことができなければ、W杯で上には行けないと思う。

浅田 メンバーを固定している点と同様、ザッケローニ監督は自分が選手を試していないから、いざ選手を代えたいというときに、適した選手が手駒の中にいないんでしょうね。

杉山 自分で自分の首を絞めちゃっている部分はあるかもしれないね。

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