【日本代表】ザックジャパンのサイド攻撃は機能してるといえるのか (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 4-2-3-1の波は日本にも押し寄せ、今ではすっかりスタンダードな布陣になっているが、サイドの問題にまつわる説明がないまま、単なる流行に乗ってそれを導入したためか、サイド攻撃=サイドバックの概念は崩れていない。4-2-3-1の3の両サイドと協力しながら、2人がかりでサイドを崩そうとする姿勢に欠けるチームがJリーグでも多く見られる。

 ザックジャパンもその傾向が強い。長友と岡崎(左)、酒井宏と清武(右)が、コンビネーションよく2人がかりでサイドを崩そうとするシーンはごく僅かだ。 岡崎と清武は流動的サッカーの名の元に、早い段階で横への移動を開始する。サイドバックはサイドで単独になりがちだ。

 これでは数的不利な状況に追い込まれる。サイドには安定した状態が生まれにくい傾向がある。よって攻撃の幅は広がらない。サイドバックは不安定な状態の中で、高い位置に侵入することになる。そのためには相当な勇気と覚悟が求められるので、その回数はおのずと少なめになる。

 オマーン戦の日本も、そうした状態にあった。長友と酒井宏は、基本的に簡単に攻撃参加できにくい状況に置かれていた。だが彼らはリスクを冒して前に出た。長友と酒井高は得点に絡む活躍をした。

 酒井高が出場したのは後半64分。交替の相手は1トップを務めていた前田だった。その結果、トップの位置に本田が上がったわけだが、これは事実上0トップの作戦だ。真ん中の高い位置で構える選手がいなくなったことを意味する。真ん中の高い位置でのポストプレイはそう期待できない状態になった。

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