【日本代表】次なるステージへ。世界と戦うために長谷部が追求する「確固たる自信」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Fujita Masato

 実際、現地マスカット時間で15時30分キックオフの試合は、まだ日差しが残る前半は特に、スタンドの記者席にいるだけでも汗がにじんでくる暑さのなかで行なわれた。吉田麻也は30度を超える高い気温を考え、「自分たちでボールを保持して、相手を動かそうとした」というが、それでも「かなり暑くて消耗した」。

 しかも暑さの厳しい前半に、日本は西日をまともに正面から受けることになった分、さらに消耗が激しかったに違いない。動きの落ちた後半に、同点ゴールを許したひとつの要因だと言っていいだろう。

 吉田が「1点取った後のボール回しも悪くなかった」と話していたように、決して日本が悪いボールの奪われ方をしていたわけではない。だが、「むこう(オマーン)は疲れなかった。思った以上に走力があった」と吉田。結果的に、日本は思いのほか、相手のカウンターを浴びることになった。

 長谷部が言う。
「相手はボールを奪った後、走ってくる距離が長く、それに対して(日本の)攻守の切り替えが遅かった」

 なかでも動きの悪さが目立っていたのは、本田圭佑である。普段はモスクワでプレイしているとあって、恐らく誰よりも大きな気温差に苦しめられていたであろう本田は、明らかに動きが鈍く、いつものような自信満々にパスを要求する姿は見られなかった。

 やはり、暑さは少なからず試合内容に影響した。吉田の口をついて出た言葉が、それを裏づける。

「苦しいなかで、勝ち点3を"拾えた"のは大きい」

「取った」のではなく「拾った」。吉田が、そう感じるのも無理はない試合だった。

 それでも、長谷部が言うように「次のヨルダン戦もそうだが、こういう戦いは結果(が大事)」であるのも確か。長谷部はキャプテンとして様々な課題を挙げながらも、「苦しいなかで勝てたのが一番よかった」と話す。

 暑さのなかでの消耗戦であることを考慮し、1点リードのまま押し切ろうとした日本に対し、後半、オマーンがFKから同点ゴールを決めるという嫌な展開。日本選手が浮き足立ち、一気にボルテージの上がったスタンドの雰囲気に飲まれても不思議はなかった。

 しかし、そこで踏みとどまるどころか、決勝ゴールまで決め、再び勝ち越してしまうのだから、最終予選を圧倒的な強さで独走するのも当然というものだろう。

 日本にしてみれば、このオマーン戦は引き分けでも問題なかった。にもかかわらず、勝ち点3を積み上げたことで、果たして今回の最終予選における日本の独走態勢は、もはや揺るぎのないものとなった。

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