【名波浩の視点】
ザックジャパンのさらなる進化に欠かせない選手とは?

  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

オマーン戦で決勝ゴールを決めた岡崎慎司。この日も敵の虚をつく動きでチャンスを演出していた。オマーン戦で決勝ゴールを決めた岡崎慎司。この日も敵の虚をつく動きでチャンスを演出していた。 アウェーでオマーンと戦ったW杯最終予選。日本は2-1で勝利して、ブラジルW杯出場に王手となる大きな勝ち点3を手にした。

 試合を振り返れば、日本は立ち上がりから苦戦を強いられた。

 確かにホームのオマーンは、6月に埼玉スタジアムで対戦したときよりも良かったと思う。スタンドを埋め尽くしたサポーターに後押しされて、前のほうに人数をかけてくるシーンが多く、選手個々が自信を持ってプレイしていた。前回はシュート数が1本記録されただけだったけれども、今回はふた桁のシュート数を記録するなど、何度か決定機も演出した。

 しかしそれは、日本の動きがあまりに鈍かったからでもある。動ける選手と動けない選手との差が激しく、攻守ともに日本らしさがやや陰を潜めた。

 最大の問題は、やはり暑さだ。ピッチからの照り返しも強く、選手たちが体で感じていた気温はおそらく40度を超えていて、そうした気候的な悪条件に相当苦しめられた。試合の2日前、3日前に合流したばかりの欧州組にとっては、体力的にかなりきつかったと思う。

 なかでも、動きの悪さが顕著だったのは、最も寒いロシアから来た本田圭佑。自らアクションを起こせず、相手マーカーをはがせずにつかまったままで、まったく動けていなかった。あんなに動けない本田を見たのは初めてだ。

 また、オマーンを相手にして一番怖かったのは、中盤でボールをキープしてこねくり回すことで、そこを相手に狙われて、空いたスペースを使われてのカウンターだった。実際に失点に結びつくFKを与えたシーンは、その警戒すべきポイントを狙われてのもの。そうした形を日本は容易に許していたが、それも本田が精彩を欠いていたことが原因のひとつだろう。かつてないほどボールを失うシーンが多くて、いつもならすかさず奪い返していたボールも奪い返せずにいた。本田らしい"強さ"というものがピッチ上でかもし出されることがほとんどなく、前半で交代させられるのではないかと思ったほどだ。

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