【日本代表】初の中東アウェー。ザッケローニ監督と選手の間にある意外な温度差 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 実際、試合会場となるオマーンの首都、マスカットに来てみた印象を言えば、思ったほど暑くはない。キャプテンの長谷部誠も、「08年(ワールドカップ3次予選で、オマーンと6月にマスカットで対戦)のときは夏で、50度くらいあった。それに比べれば、今回のほうが楽」だと話す。

 だが、それでも日差しはまだまだきついし、それなりに湿気もある。ここで夕暮れ前に試合を行なうことは、容易ではないだろう。

 しかも、日本代表選手の多くが現在、ヨーロッパでプレイしている。ドイツのレバークーゼンでプレイする細貝萌は「ミュンヘンは2週間前、雪だったし、夜(の気温)はマイナスになる」と言い、「やはりヨーロッパとは気温差がある」と認める。

 まして、ヨーロッパでは週末にリーグ戦が行なわれていたため、メンバー全員が集合できたのは、試合前々日(12日)の夜遅く。長谷部は「移動や時差は、日本に帰るよりも楽」だと言うが、わずか2日でこの気温差に適応することは簡単ではない。長谷部が続ける。

「スタジアムの雰囲気や気候など、中東のアウェーゲームが厳しいことは、過去に自分もプレイして感じている」

 ザッケローニ監督も、6月にオマーンと日本のホーム(埼玉)で対戦したときには、「日本がいいリズムで力を出したので、オマーンが苦労した」としつつも、「前回と今回が違うのは、6月のときは準備期間があったこと」だと話し、試合直前集合のアウェーゲームに警戒感を強めている。

 思い出されるのは、日本がシンガポールに乗り込んだ、05年のワールドカップドイツ大会の予選である。試合直前に合流したヨーロッパ組が東南アジア特有の高温多湿に対応できず、コンディションがことごとく悪かった。辛うじて勝ったものの内容は散々なもので、かなりの劣勢を強いられた。

 とはいえ、当時とは日本代表選手の経験値も異なる。むしろ、アジア予選初心者の指揮官よりむしろに、選手たちは中東での戦いに慣れている。川島永嗣は言う。

「常にコンディションよく戦えるわけじゃない。中東でのアウェーは(今回の最終予選で)初めてだが、コンディション的に(今まで)やってきたことができないときでも、臨機応変にやることが大事になる」

 幸いにして、多くの選手が口にしていたように「ピッチ状態はいい」。それは少なからず、日本の選手が落ち着いてプレイするための手助けとなるはずだ。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る