【なでしこ】 問われる佐々木監督の手腕。
なでしこジャパンを取り巻く世界の強豪の現在地

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko
  • photo by Hayakusa Noriko/JMPA

澤や大野らベテランと、若手の融合はどうなるのか。チームの世代交代に注目が集まる澤や大野らベテランと、若手の融合はどうなるのか。チームの世代交代に注目が集まる 佐々木則夫氏のなでしこジャパン監督続投が発表されて1週間。監督としての初仕事はなでしこリーグ第17節浦和レッズレディース対INAC神戸レオネッサ戦の視察だった。

 ロンドン五輪でも活躍したなでしこジャパンの面々が集うカードだったが、佐々木監督はあえて「今日は代表経験のない選手を中心にチェックした」とのこと。「はっきりと監督として見ると新鮮ですね」と語った。

 佐々木氏がなでしこジャパンの監督に就任したのは2007年。当時は今年ロンドンでも活躍した主力がすでに固まり始めており、2008年北京五輪では4位入賞を果たした。そこから後の4年は、始動時から大方の主力メンバーは計算ができた状態。まったくのゼロからの出発ではなかった。

 だが今回は違う。2016年のリオ五輪をゴールと考えた場合、澤穂希は37歳、宮間あや、大野忍、近賀ゆかりらも4年後には軒並み30代を迎える。世代交代は必至だ。もし、さらなる先を見据えた大がかりな世代交代となれば、日本女子サッカー史上では澤世代が中心となって以来約15年ぶりとなる。

 アジアでは中国、韓国が、世界ではアメリカやスウェーデン、ドイツといった強豪が数年前に世代交代を経験している。その際、どうしてもバランスは崩れるもの。中国に至っては崩れたバランスを立てなおすのにかなりの時間を要している。

 失うものはプレイの質やモチベーションだけではない。結果を出せない期間が長ければ、注目度や期待感が失われ、選手を取り巻くサッカー環境にも影響を及ぼしかねない。今や、なでしこジャパンは"結果を出すアスリート集団"として捉えられているのである。

「前に監督を引き受けた時とは状況が違う。重圧を受け止めながらやっていきたい」とした佐々木監督にとっては、まさに茨の道となることは間違いない。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る